エルアーク情報局ﾘｻﾞﾙﾄ集　出会い

出逢い

　皆殺しにされたｵﾚﾝｼﾞ色のﾊﾞﾝﾀﾞﾅのﾃﾛﾘｽﾄたちを、ﾓﾙﾄといっしょに埋葬した。

「仲間だったの?」

　ちがう、と彼は言った。

　わからないことだらけだった。
　平和なはずのﾙｸﾚﾁｱで、軍とﾃﾛﾘｽﾄによる激しい内戦がおきていたこと。
　棺型の楯を背負ったﾓﾙﾄと、ｶﾙﾐﾈﾗという名前の魔女。
　そしてﾓﾙﾄが口にした――“ｽﾄﾗﾙﾄﾞﾌﾞﾗｸﾞ”という言葉。

　危険が去ると、わきあがる好奇心――じゃなくて、報道魂を抑えきれなくなるのが、見習い報道ｶﾒﾗﾏﾝの習い性。

「ねえ、取材申しこんでいい?　わたし、雑誌の編集部で働いてるの。《ｱｸﾀ･ﾙｸﾚﾁｱ》、知ってるでしょ?」

「知ってる。“戦争は終わった”なんて絵空事ばかり載せている、政府広報誌だろう」

　たったいま目撃したものを思いだすと、沈黙するしかない。
　彼は楯をもちあげて、街道の方にすたすたと歩きだした。

「ちょっと、どこ行くの!」

「近くで宿でもさがすといい。陽が暮れるまで、軍は動かない」

　ﾓﾙﾄはそのまま、立ちどまることなく歩いてゆき……
　やがて、視界から消えた。

　――あ。

　彼の背中を見送ってしまってから、わたしは本日最大のあやまちに気がついた。

「空の写真しか撮ってない……」

─End of Scene─

【選択肢】
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