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出逢い

 声の主――真紅のドレスに身をつつんだ女性は、 ゆっくりとこちらに歩みよってきた。
 ハーフアップでたばねた銀髪、透きとおるような白い肌 ――そして何よりも目を惹くのが、内に焔を宿したかのような、 紅色の瞳。
 どの部分をとってもまるで人工物のような造形の、妖艶な美女。

出会い

「カルミネラ!」

 モルトが緊張した声音で返す。

「ふふ、何年ぶりかしら」

 カルミネラと呼ばれた女性は、 血で線をひいたような紅いくちびるを細めて微笑んだ。
 瞳の光を失った、ブラックベレーの動きがぴたりと止まる。

「あいにくこの子たち、今日はおひらきの時間なの。だから――」

 カルミネラはくつくつと笑った。
 その右手がすっとあがり、紅い粉がぱらぱらとこぼれ落ち……

「――!?」

 ごっという音とともに、紅蓮の焔が目の前にひろがった!

「無関係の相手をだまし討ちか。あいかわらず卑怯だな!」

 ……目をあけると、前にモルトが立っていた。彼がとっさに、 カルミネラの右手から放出される不思議な焔を防いでくれたのだった。

「ふふ――」

 焔が勢いを増す。モルトは避けることなく左腕をあげ、 半身が焔につつまれた。
 肉が焦げるいやな匂いがした。

「モルト!」

 そのとき、わたしはみた。
 ひどい火傷を負ったはずの彼の腕の皮膚が、 しゅうしゅうと蒸気をあげて再生していくのを。

 ――どういうこと?

 呆然とするうち焔と熱が消え、カルミネラの哄笑がひびいた。

「“力”も反応速度も、まだ衰えていないようね。 それとも、いまのは特別かしら?」

 モルトはこたえない。

「あなたをふたたび手にいれる日を――楽しみにしているわ」

 謎の美女はゆらりと背をむけてその場を去った。
 表情を失ったままのブラックベレーをつれて。


続き



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