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街角



 ハッと目が覚めた。
 あわてて起き上がってあたりを見まわすと、自室のベッドの上だった。
 着のみ着のままで眠り込んでいたようだ。
 昨夜あの後どうやって家までもどったのか、おぼえてない。
 そもそもあの公園での出来事は、現実にあったことなのだろうか?
 悪い夢でも見ていたんじゃないのか?
 ベッドサイドの目覚まし時計を手に取ると、9時を過ぎている。
 9時? それにしては、やけに暗い。
 もうとっくに日が昇り、 カーテン越しにも部屋の中を明るくしていていいはずだ。

 曇りや雨だとしても暗すぎる。
 いぶかりながら窓のところへ行き、カーテンを引きあけた。
 窓の向こうにひろがっているのは、どんよりと暗い夜空だった。
 まさか、夜の9時? バカな。いくらなんでも、 丸一昼夜眠ってたなんてことはないだろう。
 第一そんな場合は、家族の誰かが起こしにくるはずだ。
 あなたは手早く着替えをすますと、部屋を出て階段を下りた。
 だが、階下のどこにも人の気配はなく、 ひっそりとした空気が漂うばかりだ。

 居間に入り、あなたは首をかしげた。

 みんな、どこにいったんだ?
 ポッと、いきなりTVの電源が入り、画面に砂の嵐が映し出された。
 ビックリして、あなたは画面をみつめた。
 テーブルの上のリモコンに手を伸ばし、電源ボタンを何度も押してみる。
 TVはなんの変化もなく、相変わらず無意味な信号を流し続けている。
 画面の向こうから、誰か……、何かがみつめている。
 ザーザーと耳障りなノイズの向こうから、ささやきかけてくる。
 そんな気がして、あなたの背筋をぞわりとした感覚がはいのぼった。
 あなたはTVに背を向けると、逃げるように居間を出た。
 スニーカーをつっかけて、家の外へ転がり出る。
 家の前の往来にも、人の姿はない。
 道の中央で大通りの方に連なる家々の様子をうかがった。
 どの家も死んだようにひっそりと静まり返り、人の気配はない。

「いったい何が起こってるんだ?」

「ようやくお目覚めみたいね」

 背後からの声にハッとして、あなたは振り向いた。
 そこに、昨夜の少女が立っていた。



 ということは、あれはやっぱり夢じゃなかったのか。

「君は……。じゃあ、もしかして俺を家まで運んでくれたのは……」

「あのままあそこにほっといてもよかったんだけど、 また別のヤツにかじられでもしたんじゃ、ちょっと寝覚めが悪そうだし。 ここまでは、わたしの仲間が案内してくれた」

「ああ、そうか……。そりゃ、ありがとう」

「大丈夫そうだから、じゃあ、これで」

 と言うと、彼女はあなたの横をすり抜けて、先へ進んで行く。

「あ、ちょっと待ってくれ! いったい、どうなってるんだ? なにか知ってるんじゃないか、この……、異変について?」

 足を止めて、肩越しに振り向く彼女。

「うん。ちょっと話してあげてもいい。ついてきて。歩きながら説明する」

 再びさっさと歩き始めた少女の後を、あわてて追いながら問いかけた。

「って、どこへ?」

「ショッピング・モール。とりあえず、そこらへんから探してみるのが妥当と思う」

「探すって、なにを? きみは……?」

「わたしは、蒼(ソウ)。追ってきたの、あいつらの後を」

「あいつらって、昨日のあの化け物どものことか?」

 うなずく蒼の横に並んで歩きながら、あなたは続けた。

「あいつら、いったい何なんだ? この空や、街の様子も関係あるんだろ?」

「昔からの言い伝えとかヘンなウワサ話とか多いでしょ、この街? ちょうど次元の境界線上に位置しちゃってるのよ、運悪く」

「じ、次元の境界……?」

「そう。今はその境界がゆがんで、別の世界とつながっちゃってるの。 突発的な次元震のせいでね」


続く







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