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幻の中の幻 |
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拒絶の飽和が現れた! 戦闘に勝利した! *** “膿”から染み出す毒々しい霧を躱し、練り上げた力を叩き込む。返る確かな手応えに、○○は笑みすら浮かべてその一撃を振り切った。 明確な形を持った“膿”が大きく後ろへと仰け反り、その身を飛び散らせる。しかし、その損傷が即座に回復する事は無い。既に“膿”と“歪み”の繋がりは断たれている。 (ならば、倒せる) その意気と共に、更なる一撃を放とうとした○○の背後。 「○○、後は任せろ!」 響いた声はエンダーのものだ。 次の攻撃を放つ為に体勢を整えていた○○の隣を、赤い衣が翻り、駆け抜けていく。 「っらぁ!!」 逆手に構えた短剣による斬撃が、“膿”とのすれ違い様、瞬く間に三度。そこから後方へと飛び上がったエンダーは、“膿”の上部に短剣を深々と突き刺してから、“膿”を蹴る反動で刃を跳ねさせ、更に大きくその歪を切り裂いた。 「──繋げ、アリィ!!」 叫びと共に、エンダーは放った攻撃の反動を消さぬまま、大きく後方へと跳び退る。 「あい」 彼が移動する事によって空いた間に、蒼光で身を覆ったアリィが入れ替わるように飛び込んだ。 「大震」 言葉に共に一歩。腹に響く重音を伴って、アリィが地面を踏み込む。 それはどれ程の力が込められたものか。大きく踏み出した足下の床が、放射線状に大きくひび割れ、砕け、捲り上がった。 「断割」 弾け飛ぶ石片の中、アリィは蒼雷を纏わせた空の手を大きく振りかぶり、抜き手の型で“膿”に向けて突き出す。 手指で作られた刃は容易く“膿”を切り開き、腕は半ばまで内部にめり込んだ。 そして、一拍。 「──“桜花狗神”」 文句と共に、突き立った手に宿る力が炸裂する。 彼女の手と、それが突き込まれていた“膿”に蒼い輝きが収縮し、そして陽光すら上回る閃きが、広間に漂う闇の気配を塗り潰した。 一秒が過ぎ、二秒が過ぎ。 三秒が過ぎたところで、漸くその光が薄れていく。 後に残ったのは、姿勢を正して軽く腕を払うアリィの姿だけ。“膿”は完全に消え去り、広間を覆っていた異質な気配も同時に無くなっていた。 *** 続く |
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