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幻の中の幻


 完全に膠着してしまい、状況を打開する為の策が見当たらない。このままではエンダー達が“揺らぎ”の手に捉えられるのも時間の問題だ。
 何か、無いか。
 ○○は焦りと共に視線を彷徨わせて、ふと、己の肩上に止まっている存在に気づく。
 そうだ、サニファ。これが居た。
 見た目はお間抜けな着ぐるみ妖精にしか見えないが、ツヴァイから様々な“解決”の為の力を託されている筈だ。
 サニファはじっと、睨む様な目つきで、広間に漂う“揺らぎ”達を見つめていて、○○の視線にも気づいた様子が無い。
 ○○は着ぐるみの名を呼ぶが、サニファは反応しない。
 更に呼ぶと、竜の着ぐるみは“揺らぎ”から視線を外し、ふむ、と小さく一息。

「……成程。そういうことッスか」

 何か、判ったのか。
 尋ねると、サニファは眉根を寄せた厳しい顔を漸く○○へと向けて、

「○○様。あれは、要は“撓み”が表に出てきた結果ッスよ」

 撓、み?

「そッス。理由とか、原因とか、自然的か人為的とかは判らないッスけど、兎に角、○○様のような“迷い人”とは異なる形で、この“世界”に対して何らかの接触か、干渉が行われた。それを黒星様が述具で強引に押さえ込んだ結果、力と力の押し合いが生まれて、その余剰が、ああいう歪み、揺らぎ、歪み、撓みとなって、この“竜の迷宮”に形の無い形として現れている、といったところッスかね。多分、黒星様の述式が押されてるって事なんでしょうけど」

 接触。干渉。
 一体、何が?

「知らないッスよ。ていうか、接触や干渉という言葉が適切なのかも正直自信ないッス。けれど、書が構成する“世界”に対して何処かから、何かから。変化を促す要素を持った何かが関わったのは確かッス、完成された存在である単書世界に、自分達以外のイリーガルな要素が存在している、存在しようとしているのがその証拠ッス。それに」

 サニファは一度言葉を切ると、自分の中にある感覚を吟味するように間を置いて、

「あの感じ──“落丁”を起こした書に遺されてる気配と、良く似てるッス」

 落丁。
 確かそれは、自分とエンダー達が初めて出会った時に起きた現象。
 彼らが“迷い人”となった原因。

「まぁ、その辺りは取り敢えず脇に置くとしまして……今は、エンダー様達をお助けするのを優先すべき状況ッスね」


続く






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