TOP[0]>攻略ルート選択 >リザルトTOP

幻の中の幻


エンダーとアリィ

「○○か!? お前、なんでここに──」

 叫ぶ声は、細道の多かった迷宮深部では珍しい半円形の広間中央から。
 そこに背中合わせで立つエンダーとアリィは、何かと対峙するように自分達の得物を構えていた。
 二人の周りを取り囲んでいるのは──簡潔に表現するならば、“揺らぎ”だろうか。
 無い筈の場所に、何かが在る。いや、これから在る。
 そんなイメージを見る者に与える、奇妙な空間の波紋。それらが群れを成してエンダー達の周囲に浮かんでいる。

(あれが……)

 先刻、サニファが言っていた“変な気配”の正体なのだろう。
 ○○は通路から広間の中へと踏み込むと、彼らに近づこうと数歩進んで、

「──○○、そこで止まれ! こっち来んな、お前も囲まれるぞ!!」

 エンダーからの警告と、そして自分の判断。その二つに従い、直ぐに脚を止める。
 エンダー達を囲んでいた気配。その幾つかが、○○の動きに合わせてふらりと、こちら側へと距離を詰めてきたからだ。
 こちらの接近を牽制しているというよりは、近づいた自分に引き寄せられた。そんな印象を与える動きだった。

「俺等もこいつらが何なのかわかんねーけど、少なくとも攻撃はしてくる! 偶に伸びてくる“手”に掴まると、派手に切り刻まれるから気ーつけろ! あと、こっちの攻撃は殆ど通じねー! 特に、ブン殴る類は全滅だ! 幽霊みたいなもんかもしんねー!」

 エンダーが口早にこの謎の存在に対する情報を飛ばしてくる。

(相手から攻撃があり、しかしこちらの攻撃は通じない、か)

 厄介。
 ○○は思い、武器を構えるものの前には出られず、空中に浮かぶ無数の“揺らぎ”を睨む。
 完全に“揺らぎ”に囲まれているエンダー達は、時折“揺らぎ”から伸びてくる何か──細い揺らぎの線のようなものを避けている。エンダーは完全な回避、アリィは手にした枝での払い。アリィが放つ不可思議な力は、あの“揺らぎ”でしかない存在にもある程度通じているようだが、しかしそれも決定的なものでは無いらしく、一度彼女から放たれた稲光は“揺らぎ”に乱れを生じさせただけ。

(まずいな)


続く






画像、データ等の著作権は、 Copyright(C)2008 SQUARE ENIX CO., LTD./(C)DeNA に帰属します。 当サイトにおける画像、データ、文章等の無断転載、および再利用は禁止です。