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空襲

【備考】
信じるを選択

 デモノイドは敵だ。
 しかし、メリルはメリルだ。街を守るという共通の目的がある。今は、そしてこれからも、一緒にアウターズの脅威に立ち向かうべきだ。
 そう決心した〇〇は、武器を構えるとメリルと共にアウターズに向かっていった。

飛散する黴
飛散する黴

〜戦闘勝利〜

 メリルと共にアウターズを何匹か始末したが、空にはまだ無数のアウターズがいて、アーレイベルグ正規軍のグライフ部隊と激しい戦闘を繰り広げていた。戦局はあまり芳《かんば》しくない。

「……ここを任せても構わないか?」

 そんな中、メリルが〇〇に問う。

「私はあの女を追う。こいつらを呼び出した方法を聞きだして止めてみせる!」

 確かに元凶を叩かなければ、ここで幾ら侵攻を防ぎ続けても消耗するだけだろう。
 任せるということは信頼されているということだ。こちらもメリルを信じると決めた以上、その信頼に応えなくてはならない。
 〇〇は黙って頷く。
 メリルはずっとそっぽを向いたままだったが、一瞬だけ〇〇の方を見た。そして、魔防門の方へ向かって夜の闇の中を走り去っていった。

 さて、任されてはみたものの、先程の戦闘でかなり消耗している。このままここで応戦するか、それとも一旦学園に戻るか……
 その時、空を切り裂く爆音と共に夜の闇に白く輝く何体かの飛行体が、高速で上空に飛来するのを〇〇は目撃した。
 その飛行体はそのまま空中に静止すると、青く輝く一筋の光線をアウターズの大群に向かって一斉に放つ。
 一瞬の閃光の後、アウターズの群れはその光線によって焼き払われ、一部が跡形もなく蒸発した。
 新たに出現した未確認の敵に、アウターズ達は不快な音を出し合って瞬時に情報の共有を行う。群れの一部が低い羽音をメロディに変え、フォトケミカルスモッグを形成する。そして、そのまま謎の飛行体へと向かっていく。
 飛行体は前方先端の三角形の部分を折り畳むと、身体の下部に腕のようなものを生やした。その腕の先端が唸りを上げる。先端が激しく明滅したかと思うと、次の瞬間、向かってきたアウターズの羽や身体がずたずたに引き裂かれていた。
 〇〇の目の前に落下してきたそのアウターズの死骸からは火薬の臭いが立ち上っていた。

 あれは……機械体? しかし、アーレイベルグ正規軍にあんな高度な技術を用いた兵器があっただろうか。
 いや、あれに良く似た色の機械仕掛けのものを見たことがある。
 しかし……
 ウサギが空を飛ぶのか?

「ウハハハハハハ! オラオラオラオラオラ!!」

「オイ、あいつダイジョウブなのか? やりすぎジャネ?」

「管理者権限があるからってやりすぎダ。少しは自重シロ」

「フーハハハハ、この機械仕掛けの神《デウセクスマキナ》に敵うとでも思ったか! 愚民ドモガ!」

「アウターズは外から来てるんだから、民じゃないダロ……グライフには当てるなヨ?」

「マ、ここの連中には我々の姿は見えても識《み》えないから構わないんだけどナ」

「しかし、あまり干渉しすぎると展開に歪《ひずみ》が生じるゾ」

「こいつ等を放っておいた場合の歪の方が事態は深刻になる。多少の超展開はやむを得まい」

「サテ、こっちはそろそろ片付くが、他はどうなってる?」

「……ら……リー、こちらチャーリー、ダメだ、もうもたない」

「オイ! どうした!?」

「新たな敵が現れた! 神の意匠から外れた奴らがいる。こちらの理力は一切効果が……」

「……H-7に向かった小隊か。確か一番大きな反応があった場所ダナ」

「向こうが本命ということか。そして、予想外に次が出てくるのが早かったな。どうするんダ?」

「なに、そんなときの為にアイツがいるんダロ?」

「フム、この世界の理《ことわり》に囚われない力には同じ力で対抗するわけダナ」

「ソウイウコト。餌の準備もしておいたヨ」

「さっきの様子なら、うまく食いついてくれそうダナ」

「ダロ?」

「よし、後は人間達に任せて我々は撤収するぞ」

「出てくる時にぶっ壊したウサギ小屋も直さないとネ」

 アウターズの大半を始末した飛行体はしばらく上空を旋回した後、学園の方角に向けて飛び去っていった。
 まだアウターズが残っていたが、既に戦局は逆転し、アーレイベルグ正規軍が圧倒的に優勢となっていた。

     ***

 〇〇は街の人と協力し、怪我人の救助や瓦礫の撤去を行っていた。
 今回の戦闘はアーレイベルグの街中で起こった戦闘としては、かつてない大規模なものだったらしい。
 それはそうだろう。デモノイドは今まで自分達の滅びを防ぐ為に、この街を保護していたのだから。
 しかし、アウターズは違う。目的は全く分からないが、この世界が滅んでも意に介さないのは確かだ。
 何故なら……
 奴らは外から来た者達だからだ。自分と同じだ――ここがダメなら箱舟に戻ればいい――そう考えて〇〇は自己嫌悪に陥る。
 被害は魔防門と学園付近に限定されていたが、それでも、街の人々に自分たちは追い詰められているのだということを再認識させるには十分だった。
 あちこちで子供の泣き声や女性のすすり泣きが聞こえる。
 ……このままにはできない。

 ペーターは以前こんなことを言っていた。

 ――オマエさんがアイツらに対抗する切り札になり得ることは分かった――

 切り札。
 先程の飛行体がペーターとその一味ならば、自分よりよっぽど強いのではないのか。
 それで何故、切り札なのか。
 人類、デモノイド、アウターズ、ペーター。この中でアウターズだけは外から情報を持ち込み、外へ情報を持ち出すことができる。この世界では最も硬い鉱石であっても、別の世界ではもっと硬い物があるかもしれない。そして、外からそういった物を持ち込まれれば、中にいる者にとってそれは“神の力”であり、抗《あらが》うことのできない力となる。
 最初に現れたアウターズはただの肉の塊だった。
 次に現れたアウターズは羽を持ち、空を飛ぶことができた。この世界での簡易な会話の手段と、この世界の生物を操る方法を獲得していた。そして、奴らは謎の強力な機械体によって蹴散らされた。即ち、謎の機械体の存在を奴らは知ったのだ。
 ならば、次に来るのは……
 ペーターでは次は勝てない。ペーターはそれを知っているのだ。

 なるほど。

 アウターズの力を借りたのはグラトンだけではなかったというわけだ。
 まんまとペーターに踊らされているのかもしれない。しかし、なればこそ、その役を演じきってやろう。
 まずは、次の舞台の場所を探し出さねばなるまい。
 あのデモノイドの女、それにメリルもそこへ向かったはずだ。
 メリルには聞きたいことがある。いつものようにはぐらかされるかもしれない。しかし、それでも聞かなくては……
 〇〇は瓦礫をどかす作業を続けながら、決意を新たにしたのだった。

―End of Scene―




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