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宿木、探り求める者II

[宿木について詳しく聞きたい]

“宿木”についての基本的な部分を憲章から学び、それに補足してもらう形で店主から更に説明を受ける。
 それらを簡単に纏めると、こうだ。


 ──禁領探索私設介助団体“宿木《ヴィスクム》”
 大まかに言えば、“禁領”と呼ばれる特殊な危険地帯を探索し糧を得る“探求者”と呼ばれる者達が、集い、休み、情報を交換するための場を提供する組織である。

 その主な役割は、聖堂院以外の七王国各所に探求者達の一時の仮宿としての機能を持つ施設“マイグラトリーレア”、禁領探索のための中継地として“パーチ”を設け、彼らの行動を支援する事。
 同時に所属探求者の所在入出成績諸々の管理や、禁領から持ち出された品物の鑑定、取引なども行い、更には禁領品を一般の市場に流して良いものかを定める組織という一面も持っているらしい。これは私設ながらも七王国から直々の援助を受けている、半公営の団体であるからこその役目ともいえる。未知の禁領品の取り扱い判断は主に国から出張ってきた監査員が行うが、自由に品物を扱うべきであるという宿木の者達の間で、価値観の相違からの諍いが起きる事も多々あるのだとか。

 禁領品の管理は、主にパーチと呼ばれる宿木直轄の集落で行われる。宿木の本領は、マイグラトリーレアよりも寧ろこちら、パーチにあると言っても良いらしい。
 パーチは各国に二箇所、大規模なものが設営されており、禁領と呼ばれる危険地帯へと向かう者達の為の前線基地となっている。宿木に所属する探求者は皆、ここを拠点として近隣の禁領攻略に臨む。
 各パーチでは禁領攻略を行う際の“指標”となる探索計画の提示を行っており、探求者は基本、パーチから提示される計画に則って禁領の探索を行う事になる。探求計画は探求者それぞれの実績に従って立案、提示され、それらの計画に沿わない形での禁領侵入は禁止されている。
 このルールは、もし探索中に危険な状況に陥った場合や禁領内で遭難した場合に、それを素早く察知し、パーチから救援の探求者を派遣する事が出来るためと、個人主義、自由主義な探求者達が暴走しないように抑える二つの意味を持つという。

 パーチを“前線”とすると、マイグラトリーレアは各国各都市間にある宿木拠点の情報収集伝達、事務処理が主で、云わば“裏方”に当たる。
 マイグラトリーレアでは、各パーチ各禁領についての情報提供を受けられる他、食と住に関してもある程度融通をしてくれる。宿木が支援する探求者という存在は、言ってみれば七王国各地に存在する数多の禁領を放浪し探索する根無し草。危険地帯に自ら好んで足を踏み入れる腕っ節に優れた異常者達だ。そんな者達に街での根城となる場所を提供しているのだから、成程。宿木に対して街人達の眼が厳しいのも頷ける話だ。
 宿木ではそういった悪感情を逸らすべく、街に対して探求者という人的資源の提供も行っているようで、それは“街からの仕事の斡旋”という形でこのマイグラトリーレアで取り扱われているらしい。が、それがうまく行っているかは、先刻宿木について街の人々に話を聞いた時に返って来た態度が答えになっているだろう。
 ──いや、その取り組みのお陰で、まだあの程度の扱いで済んでいると言えるのかもしれないが。

 ちなみに、宿木所属の探求者となった場合は“マイグラトリーレア”の宿泊施設などを格安で利用することが出来、更には宿木間での個人情報手続きが完了すれば、他国への移動に対しても制限がかなり緩くなるのだという。
 その辺りの話を店主としていた時に知ったのだが、どうもこの世界──より正確には七王国内では、国家間の移動に対し強い制限が存在するらしい。ツヴァイが言っていた“宿木に所属すれば七王国内でかなり自由に動けるようになる”という言葉は、恐らくこの部分に掛かってくる話なのだろう。

     ***

「で、○○。どうするよ?」

 と、○○の耳元に軽く身体を寄せる形で、エンダーが声小さく話しかけてきた。
 少年の視線は、テーブル下に身体を潜り込ませた店主の方に向けられている。店主の注意がこちらに向いていないのを見計らっての行動だ。

「俺としては、このまま宿木に入っちまっても悪くはない印象なんだが」

 彼の言っているのは、憲章を読み始める前にした話だろう。
 宿木が係わり合いになるとまずい類の組織であったならば、紹介状など無かった事にして、このまま逃げ出そうという話。

 ○○は軽く顎に指を当てて、先刻頭の中で纏めた宿木についてのあれこれを思い出し、検証する。

「…………」

 問題はない、だろうか。
 今の所、この世界で生きていくのにどっしりと根を下ろすつもりはない。ならば、生きる糧を得るのに己の力を合法的に振るうだけで良い環境というのは、そう悪いものではないだろう。何より、自分たちのような本当の意味での旅人が、明確な“立場”を得る事が出来る機会は貴重だ。
 ○○の答えに、エンダーは短く頷いて、

「了解。俺も異論はねーし、んじゃそういう事で──っと」

 先程からテーブルの下を覗き込み、何やらごそごそしていた店主が身体を起こす気配を悟ったか、エンダーがするりと○○の傍から離れる。
 店主はこちらとエンダーの会話に気づいた様子も無く、テーブル下から取り出してきたらしい紙束の内容をぺらぺらと捲って確かめ、○○の視線に気づいたのか面を上げる。

「で、他に確かめておきたい事はあるか? 無いならば、“試し”の説明に入るが」

 店主の問いに、○○はどう答えるか迷い──。

─See you Next phase─







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