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鳥姫の巣 歌子6戦目 打ちて滅ぼす力[勝利] |
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ぜーはーとホールの舞台の上にへたり込み、息を整える〇〇。
いつにも増して気合の入った鳥姫の歌──特に最後に彼女が見せた曲は、
最初の触りの部分を耳にしただけで身が凍るほどの力を感じさせた。
あの歌をもし何の身構えも無く聴かされていたら、
冗談抜きで命が無かった気がする。 「すごい。〇〇、ホントに何とかした」 上から降ってきた声、驚いたという表情で寝転がる自分を見下ろしてくる歌子を、 〇〇は忌々しげに睨む。もう少し手加減していただきたい。 「やーまんぞくまんぞく」 「すっきりしたー」 「きもちよかったねー」 そんな言葉をそれぞれ口々に呟きながら、 オルゴールから身を乗り出していた人形達は手に持っていた楽器を中へとしまい込み、 そして最後に開いていた蓋に手を掛けながら自分達も引っ込み、 ぱたんと閉じてしまう。 残ったのは、大の字になっている〇〇と、それを満足げに見下ろす歌子だ。 「〇〇、おめでと。これで合格。これはそのお祝い」 言って、歌子は小さなメモ書きのようなものを〇〇の手の中にぽんと置く。 見れば、「ごうかくしょうしょ」と書かれた文字の下に、 幾つかの音符がふらふらと並んでいた。 寝転がったままそれを暫く眺めて、そして視線を上へ、ホールの天井へと向ける。 ──合格。 これで、 “硝子天蓋”へと訪れる度に歌子とオルゴールにぼこぼこにされる事もなくなるのか。 深々と安堵の吐息をつくと、同時にどっと疲れが圧し掛かり、一瞬眠りそうになってしまう。 「うん。もうわたしが教えなくても、後は自分の力だけで歌を上手くなっていけると思う。 でも、〇〇がもういちど復習したいっていうならいつでもいいよ?」 結構です。少なくとも、暫くは結構です。 疲労のせいで口を開くのも億劫で、視線だけでその事を訴える。 「あれ、もうしたいの?」 全然伝わっていなかった。 歌子にアイコンタクトなどというものをやろうとした自分が悪かったのか。 〇〇はあわてて首を横に振り。勢いをつけて身を起こす。 このまま転がっていると、本当に寝てしまいそうだ。 そして軽く身体を解《ほぐ》すように伸ばすと、 歌子の方を振り返って、少しの間。 これは言っておくべきか。そう感じた言葉を、取り敢えず告げた。 ──色々と、ありがとう。 「ん」 その言葉に、歌子は赤色の両の眼を細めて、小さく頷く。 「こちらこそ、ありがと。無理矢理だったのに、何度も来てくれて」 無理矢理だったという自覚はあったのか、一応。 〇〇が呆れたように呟くと、歌子は少し肩を竦め、薄く微笑んだ。 「ここは新しく誰か来ること、すくないから。とくに歌を聴いてくれる人は、 あんまりいないし。だから、明日からも時々きてくれるとうれしい」 ただ顔を出す程度なら構わないが、今日みたいな歌い合いをやるとなると、 また話は違ってくる。 「ダメ? うたのべんきょう、楽しくない? いや?」 「…………」 「ん、良かった。じゃ、次来てくれた時にも、またやろ?」 ──返事はしていない筈なのに、 どうしてこういう時だけちゃんと通じてしまうのだか。 *** 〇〇はフェアリートゥイターを習得した! 〇〇はウィムシカルダンスを習得した! 〇〇はパワーヴォイスを習得した! −End of Scene− |
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