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天秤、聖杯、そして聖筆

ゼネラルロッツにて教会へを選択
「……こうして、第三の時代“キュネブルガ”は終焉を迎えました。 賢者アーネム様は聖筆を用いて世界を作り直し、 それからやっと第四の時代、つまり“今”が始まったのです」

 しんと聞き入る幼い子供達に向かって、 壇上のマリーはそう締めくくった。
 戸口に現れた○○○の方を数人の子供達が振り返ったが、 すぐにまた前へと向き直る。



「さて、今日の授業はここまで。何か質問はありますかー?」

「はい! はーい!」

 待ってましたとばかりに子供達がこぞって手を上げた。

「じゃあ、ラース君」

「はい! えーっと、それじゃ、 今の時代もアーネム様が怒ったら終わっちゃうかも知れないの?」

 ラースと呼ばれた少年は不安げにそう言った。 マリーはにこりと微笑み返す。

「そうね、そうかもしれないわね。でも、 そんなことのないよう、 世界を正しい姿に保つために教会があるんですよ。 だから皆がもっと教会で勉強してくれたら、きっと大丈夫ね」

「わかった!」

「他に質問はあるかしら?」

 マリーの声に、子供達は再び競い合うように手を上げた。

「じゃ、今度はヤスミン君」

「はい。僕が本で調べたところによると、“天秤” “聖杯”そして“聖筆”の三至宝の内、世界を破滅に導く “アーネムの聖杯”はキュネブルガ時代の終焉と共に失われたとされています。何故そのようなことが起こり得たのでしょう? シスターの見解をお聞かせ願います」

 ヤスミン少年は起立すると、淀みない口調でそう言った。

「よ……よく勉強してるわねー、ヤスミン君は」

 マリーはそこで一つ咳払いをして、虚空に目を泳がせた。 続けるべき言葉をそこに探しているかのようだ。

「……ええと、確かに“聖杯”が失われたとする説はあります。 けど、それは過去の三つ時代の遺産を調べた結果、 そう推測することもできる、という程度のことでしかありません。 中には、この世界を創り出した賢者は既に死んでいるなんて説もあったりして、実を言うと何が正しいのかは、まだ判っていないのよ」

「仮説の一つに過ぎないということですか? では、 現在教会が正史とするものも、その一つでしかないと?」

「うっ。まあ、大雑把に言うとそうです。ただ少なくとも “聖杯”が失われたとする確たる証拠は見つかっていないし、 仮に失われていたとしても“聖筆”が――」

「うー、何いってるのか良くわかんなーい」

「ご、ごめんなさいね。ロッテにはちょっと難しい話になってきたわね」

「あ、僕はもう充分ですので、次の質問に行ってください。 ありがとうございました」

 ヤスミン少年が着席する。

「はい! はい!」

「ええと、それじゃネイサン君……」

「はい! さっき蚊に刺されて気が付いたんだけど、 なんで爪で十字をつけると痒みが止まるんですか?」

「くっ……!」

 マリーがわなわなと震えた。

「今日の話とまるで関係ない……っ!」

「……マリー、怒ってる?」

 ネイサンが不安げな声を上げる。

「全然怒ってませんよー! えーと……なんでかしらね。 多分それは気のせいじゃないかしら?」

 若干引きつった笑顔でマリーはそう言った。

「いや、それは気のせいじゃないよ」

 声がして、左奥の扉からユルバン神父が姿を見せた。
 続いて、マリーよりも小柄で初々しい感じのシスターが、 彼の後ろから現れる。見たことの無い顔だった。

「あ、神父様。……と、コゼット」

「お疲れ様です先輩!  今日は珍しい聴講生の方がいらしてますね!」

 コゼットと呼ばれたシスターが、○○○を見て軽く会釈をした。

「こらこら、まだ授業中だよコゼット君」

 ユルバン神父にたしなめられたコゼットは、「てへ」 と自分の頭を軽く叩き、そそくさと退室した。

「それよりネイサンの質問の件だけど、あの十字に意味はあるんだよ。 多くの人が経験からそれを身に付けているのも、 実際に効果があるからだ」

「ええ、本当ですか?」

「ちなみに僕はその技を“十字の刻印”と名づけて活用している。 かっこいいだろう」

 ユルバン神父が嬉しそうに言う。




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