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外なるもの |
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戦闘に勝利した。 メリルの術が炸裂し、轟炎が敵を包み込む。 黒い塊は崩壊しだし、それが今まで存在して いた空間から弾き出されるかのごとく消滅していった。 跡には酷い悪臭以外は何も残ってはいなかった。 「あれは一体なんだ?」 メリルが呟く。 「グラトンじゃーないネ」 「では、何だというんだ?」 「サアネ。危険な存在だったのは間違いないと思うけどネ」 ペーターが淡々と受け答える。 メリルは考え込んでいる。 「……評議会に行って意見を仰いでくる」 下水道の出口に向かって歩き出すメリル。 「オイオイ、今からかヨ」 「そうだ。これは非常事態だ」 「お偉いサン達もその内、気づくダロ。 しばらく様子見でいいんじゃネ?」 「私の役目はこの街を守ることだ」 「“グラトンを狩ること”じゃなかったのカイ?」 「……」 一瞬、メリルが立ち止まった。 しかし、またすぐに歩き出す。 「すぐに戻る」 「なに、○○がいれば大丈夫サ。安心して行ってきナ」 「……そうだな」 外の新鮮な空気を吸うと、夜のひんやりと した空気が肺を満たした。 メリルはそのまま足早に立ち去ってしまった。 「サテト」 ペーターが所定の位置に飛び乗ってくる。 「オマエさんはどう思う? あの異形について」 デモノイドについても詳しくないのに、どうと言われ ても……、いや、何か奇妙な感覚があった。姿形は 全く異なるのに、何故か“似た物同士”のような 感覚。そんなはずは絶対にないのに、その感覚を 拭い去ることができない。 「オマエさんに最初に出会った時に聞いたよな。 “アウターズか?”と。そう、アイツも部外者、外から来た者ダ」 アウターズ。そういう意味だったのか。 「厳密にはちょっと違う。アイツらは根っからの侵略 者ダ。真の狙いが何なのかは知らんが、火の粉 は燃え広がる前に振り払っておかないとネ。マ 、とりあえず、今回の戦闘でオマエさんがアイツら に対抗する切り札になり得ることは分かった 。アイツらのせいで余計な仕事が増えて困ってた んだが、その仕事はオマエさんに任せることにするヨ」 何がどうなっているのかも良く分からないの に、仕事を任されても困ってしまうのだが。 それに一体何をしろというのか。 「掃除ダヨ、掃除。アイツらに長く居座られるとあ ちこち歪《ひず》んでくるからナ。アイツらが表立 って動き出したことで、アイツらが入ってくる“ 穴”の場所が特定できるようになったはずダ 。特定できたら場所教えるからちゃちゃっと 片付けてきちゃってヨ」 そんな簡単に片付くようなことなのか。 「ンー、たぶん無理ダネ。でも、現状ではオマエさ んが一番適任なのサ。オレサマは使えるものなら 親の友達の隣の家の飼い猫でも使っちゃうからネ」 なんて無責任な。 「マ、とにかくメリルだけはちゃんと守ってくれよナ」 そう言って、ばしばしと○○の頭を叩く と、ペーターは夜の街へと消えていった。 切り札? 今日戦ったような奴らを相手に本 当に勝てるのだろうか。 あいつの姿、口笛のような音、酷 い悪臭を思い出し、思わず吐き気を催す。 正直、メリル抜きであいつに勝つのは難しかっただろう。 ペーターには何か策があるのだ ろうか。どうにも胡散臭いウサギである。 そんなことを考えながら歩いている と、危うく何かにぶつかりそうになった。 「パンはいかがですか? 焼きたてですよ?」 見るとエプロンをかけた長身の女性が 目の前に立っていた。女性にしてはかなり背が高い。 手にはバスケットとパンを持っていた。 女性はニッコリと微笑むと、パンを差し出してきた。 「お一つどうです?」 ○○はそれを断ると、再び学園に向 かって歩き出した。今は食欲がない。 それにしても、こんな夜中にパンを 売り歩くことはないだろう。こんな 時間に売っているのは……実はその 手の人だったのだろうか……いやいや、実は…… ○○の思考はいつの間にかアウターズ の謎からパン屋の謎へと摩り替わっていた。 ─End of Scene─ |
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