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新宿中央公園

【備考】
山手線代々木駅→高層ビル

 新宿に近づいた時、僕たちは焼け野原の先に奇妙な光が空へ反射しているのを見た。

 目指す新宿公園のあたりだった。
 僕たちは光を目指して、突き進んだ。

 目的地である新宿中央公園にたどり着いたとき、僕たちは驚愕《きょうがく》した。


 平行に並んだ二本のビルが、斜度45度で逆さまに地面へ突き刺さっていた。
 二本の平行線を垂直に連絡通路が貫く。

 巨大な建造物の死骸は、爆撃で崩落した都庁の変わり果てた姿だった。

 この不幸の象徴である都庁の残骸のもとに、たくさんの人が終結していた。
 雨風をしのぐために?あるいは、ただ人のむくもりを求めて……。
 人が集まるところに、商売が生まれる。
 やがて、あたりには無秩序に露天が並びはじめ、さらなる人を引きよせた。
 こうして、新宿中央公園は戦時下の日本最大の闇市になっていた。

 市場は、ごった返していて、むせかえりそうな熱気にあふれていた。
 工場を出てから、これほどたくさんの人間を見たのは初めてだった。
 生きている人間たち……。
 この国にはまだこれだけの人間がいたのかと、奇妙な安堵感を抱いた。

 でも、目の前に広がる光景は、何かが足りない。どこか歪んでいた。

 今にも崩れ落ちそうな露店を切り盛りするのは、女性ばかり。
 道を行き交う人々も、あらゆる年代の女性。
 その女たちの間を縫うように、子供たちの群れが駆け回り、道端では、 老人たちが子供たちの様子を見守りながらしゃがみこんでいた。

 違和感の正体。この闇市にいるのは、女性と子どもと老人ばかりなのだ。
 視界のどこにも男性の姿がなかった。

 男たちは、兵士として戦争に駆り出されるか、 各地の工場へ送り込まれて強制労働させられているからだった。

 それでもわずかながら、目に入る男たちがいた。
 彼らは、国家権力に背き、牙をむいた非国民だ。
 そして僕もそのひとり。

 ここに集まる誰しもが、過酷な状況をものともせず、 力強く生き抜こうとする生命力でギラギラと輝いていた。

 人間っていうのは、どんな状況でも、生きるためにすぐに適応するものなんだな。
 どんな人も真っ黒で汚れていたけど、なんだかとても愛おしく思えた。

 男が少ないこの闇市では、ただ若い男であるというだけで、女たちの注目の的だった。

 僕はその特権をいかして、情報収集に精を出した。
 おかげで、捜していた仙人の居場所はすぐにわかった。

 中央公園のはずれに、崩壊した都庁の瓦礫を集めて作り上げられたちょっとりっぱな小屋。
 その中で、仙人はただ空を見上げていた。

 仙人はたいてい、こうして一日をやり過ごすのだという。
 毎晩、市場の女が店の余りを届けてくれるから、食べ物には事欠かないらしい。

 でも、そんな話はどうでもいい。
 僕たちが知りたいのは、現実世界へと帰る方法だ。
新宿中央公園


 仙人の目が、鋭く光る。
 この人はやっぱりただものじゃない。僕の直感がそう告げる。
 仙人は、声をひそめて、語り始めた。

「元の世界へ戻るための合図、それは音だ。」

 隔てられたふたつの東京をつなぐ音。
 それは、いったいどんな音なんだろう。

 仙人に詳しい説明を求めようとした時、ザルに芋を盛った女がやってきた。 仙人への差し入れだろうか?

 スズは、そのザルに目が釘付けになっていた。
 監獄島でも、僕たちはまともな食事はしていなかったけど、 島を出てからは2日に1度食べられればいい方だった。

 仙人は、女を小屋へ招き入れると、一方的に話を打ち切った。

「音を探すんだ。同じ世界に生きていても、世界の感じ方が人それぞれ違うように合図の音も、 人それぞれで違うのかもしれないぞ」

 僕たちを追い払うように、こう言い放つと、仙人はささっと小屋に引っ込んでしまった。
 仙人の小屋の前には、商品を抱えた女がほかにも数人いて、列を作っていた。

 仙人はこうやって毎日しっかり食べているのか。
 工場の仲間たちよりも、健康そうに見えた理由がわかった気がした。

 仙人のおかげで、もとの世界へ一歩近づいたものの、相変わらず、 決定的な手がかりがないまま、僕たちは現実世界に戻るための音を探しはじめた。

−End of Scene−



【出現選択肢】
まだ決めてない
風まかせ
仕事を手伝う
索敵活動
エルアークへ戻りたい


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