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真実の問いかけ

 解放された仲間たちの歓声がいつまでも響いて遠くに聞こえている。
 やがて勝利の興奮はおさまり、しばしの静寂が訪れた。

 僕は窓を背にして、スズとうなずきあう。
 残るは、最後の仕事のみ。
 僕はスズの手を引き、奥へと続く扉の前に立つ。
 この奥には、ふたつの世界をつなぐ合図となる音――サイレンを鳴らすための放送室がある。
 その扉は核シェルターのように厳重だった。

 僕とスズは、試しに力ずくで扉を引いてみた。
 すると、その扉は、いとも簡単に開いた。

 その部屋はいたって簡素で、扉の頑丈さとは不釣り合いに思えた。
 何もない、カラッポの狭い部屋。
 その壁に、赤くて丸いボタンが埋め込まれていた。
 赤いボタンは、透明なケースで覆われている。
 運命をつなぐにしては、やけにシンプルで、弱々しい装置だった。

 こんなボタンが、ふたつの世界のバランスを保つという、重要な装置なのか?
 僕は、ケースをはずして、恐る恐るボタンを押してみた。

 だが、反応がない。
 ……音は鳴らなかった。

 もう一度、力を込めて押してみた。
 さらに、何度も何度も、連打してみた。
 それでも、結果は同じだった。

 兵器製作機械の制御装置を破壊してしまったからサイレンも反応しないのだろうか?

 手がかりを失い、途方に暮れる僕たち。
 その時、背後から、声がした。

「待ちかねたよ」

 突然の声に驚いて、僕たちが振り返ると、青年実業家、いや、憎たらしい天使が分厚い扉の前に立っていた。

天使

「君たちの探し物は、ここにある」

 天使は、おもむろに懐から携帯電話を取り出し、僕たちに見せつけた。

 なんの変哲もない携帯電話。
 何を言っている?
 今は、おまえの携帯なんて興味無いよ。

「サイレンを鳴らす装置。それは私の携帯電話だ」

 その時、僕はこの世界に来るきっかけになった出来事を思い出した。それは……。

−See you Next phase−


次回6時間更新
【選択肢】
・まだ決めていない
・風まかせ
・天使と一緒にいた
・天使から仕事の勧誘を受けた
・天使からのメールがあった
・天使から名刺を受け取った

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