エルアーク情報局ﾘｻﾞﾙﾄ集　ﾙｸﾚﾁｱ物語

真実

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ﾓﾙﾄの章FLASH

　聖公庁の地下、秘密の部屋。
　ﾓﾙﾄの腕のなかで、見知らぬ女は息絶えようとしていた。

　突然、女が目を醒ました。紫色のくちびるがわずかにひらく。
　ﾓﾙﾄは耳を寄せた。

「どうかこれを、わが子に――」

　女は力の入らぬ手で、何かを懸命にもちあげようとしていた。

「ﾍﾟﾝﾀﾞﾝﾄ――?」

　ﾓﾙﾄはその手のなかに、聖印をかたどった、銀製の首飾りをみつけた。
　そして次の瞬間、彼は女が助からぬことを知った。

「紅死病か――」

　緑の法衣は、紅く濡れていた。
　最期の吐血の跡だった。
　ﾓﾙﾄはうなずいて言った。

「わかった、必ずとどけよう。あなたの子の名は?」

「ｴﾙﾆﾉ――」

　女はこと切れた。

「――!」

　ﾓﾙﾄはこのとき初めて、この女の正体に思いいたった。
“救世主”ｴﾙﾆﾉの母。
　聖公ｼｴﾛの妹ﾚﾅｰﾀだ。

　――それが、聖公庁の地下に監禁されて……獄死?

　……いったいどういうことだ。
　脳裡に疑念がうずまく。
　そのときﾓﾙﾄの聴覚が、遠方のちいさな物音をとらえた。

─See you Next phase─