TOP[0]>攻略ルート選択 >リザルトTOP

リクリエーションコーナー

[拒絶する]選択

 蒼はいきなり銃を取り出し、女に狙いをつけた。

「冗談じゃない。そんなもの、誰がいるか」

「フン、バカめ。ならば、自分の影に驚き、 自分の足音におびえながら生きて行くがいい、人間どもよ!」

 ガッと虫女が口を開いた。 無数のゴキブリが黒い流れとなって飛び出し、三人に襲いかかった。

「うッ!」

 たまらずにあなたたちは、目を閉じ、歯をくいしばり、 両腕で顔をかばった。
 ばちばちばちばち……!
 羽ばたく黒い虫たちが、 顔や体にぶち当たっては飛び過ぎて行く。
 狂ったような羽音が耳を圧し、 身を屈めるようにして必死に黒い奔流に耐える。
 やがて、ふいに流れが途切れた。あなたは警戒しながら、 細く目を開けた。
 もうゴキブリが襲って来ることはなさそうだと納得がいくと、 ようやくあなたは顔を上げ、腕をおろした。
 虫女は消えていた。
 蒼は辺りを見回してから、銃をしまった。

「一階にもどって、他のとこを調べてみましょう。 きっとヤツらはまだ、ここにいる」

 そう言って、蒼はエスカレーターの方へ歩き出した。
 後に続こうとするあなたの耳元に口をよせて、 トモキがささやいた。

「おい、〇〇。おまえ、あの子と昨夜はじめて会ったって言ったな。なんかヘンじゃないか、あの子」
「ヘンて言うと……?」

「妙に化け物や、今回の事件て言うか騒動について詳しいみたいだし……、なんだか裏がありそうだぞ。おまえ、油断するなよ」

 しばし無言でトモキの顔を見つめてから、あなたは蒼の後姿に目をやった。
 蒼はあなたたちがついてきているかどうかなど気にする様子もなく、すでに下りのエスカレーターに乗ろうとしていた。

「ああ、わかった」

 そう小声で答えると、あなたは小走りで蒼の後を追った。

「ほんとに、わかってりゃいいんだけどな……」

 背後から、ぽつりとつぶやきが聞こえてきた。

 あなたたちは、たてに並んでゆっくり下りて行く。
 と、カチン! カチン! と、どこからか金属的な冷たい響きが聞こえてきた。
 ハッとなって、耳を澄ます三人。
 一階、エスカレーターの終わる先に、ふらりと男の子が姿を現した。
 男の子は足を止めるとこちらに向きなおったが、顔はうつむかせたままだ。
 右手は背後に回されている。

「蒼、あの子……?」

「しッ」

 エスカレーターが下りるにつれて、どんどん男の子は近づいて来る。
 カチン! カチン!
 背後から、同じ音が二重奏のように響いて、 ぎょっとなって振り向くと、二階の乗り口のところに、 またひとり男の子が立っていた。
 同じようにうつむいて、右手を後ろに隠して。

「これは……!」

 トモキの声は、思わずかすれていた。

「ねえ、指きりげんまんしようよ」

 と、ふたりの男の子は同時にささやき、 さっと右手を前に差し出した。
 大きな裁ちばさみが、鈍い銀色の輝きを放っていた。
 カチン! カチン!
 蒼は銃を取り出し、構えた。

「そこをどいて! さがって!」

「ねえ、指斬り、げんまんしようよ」

 二階にいた方が、エスカレーターに足を乗せた。
 カチン! カチン!
 あなたは素早く上下に視線を投げた。
 ふたりの男の子の、差し出した右手で裁ちばさみが機械的に開閉を繰り返す。
 カチン! カチン!
 狙いをつけた蒼の銃が、小刻みに震えていた。

「蒼……?」

チルドレンが現れた!



 と、蒼は素早く銃をバッグに戻すと、身を翻して、
 ちょうどX字に行き違う上りのエスカレーターに飛び移った。

「来て!」

 あわてて蒼の真似をして飛び移るが、 ベルトコンベヤに足を引っ掛け、 あなたは金属製の階段に無様に転がった。

「痛ッ!!」

 続いてトモキが、タイミングよくひらりと飛んで、乗り移る。
 エスカレーターで二階から下りてきた男の子は、無表情でこちらをじっと見つめながら、そのまま階下へと下りていった。
 カチン! カチン……!
 ふたたび二階にもどることになったあなたは、階下の様子をうかがいながら聞いた。

「蒼、あの子供たちも、ヤツらの仲間なのか?」

 蒼は首を横に振った。

「違う。あの子たちは、この街の子。ファントムにとりつかれて、 支配されてるだけ。だから……」

 撃てなかったのか。と、 あなたは唇をかみしめた蒼の横顔を見つめながら思った。
 そんな蒼を、それでも疑え、信じるなというのだろうか?

「ファントム?」

 と、首を傾げたトモキにあなたは答えた。

「実体を持たずに向こうからやって来て、 人間にとりつくヤツららしい」

「この街の人たちが姿を消したのは、 どうやらファントムのせいみたいね。おそらくみんな、 ヤツらにとりつかれてしまってる」

 カチン! カチン!
 ハッと三人そろって、上りのエスカレーターの方を振り返った。 あの子たちが上がってくる。
 素早く互いの顔を見交わすと、蒼が

「階段で下へ」

 三人はそろって駆け出した。

─End of Scene─

次回行動選択肢

・まだ決めていない
・風まかせ
・1F 噴水広場
・B1 食料品街
・立体駐車場
・エルアークへ戻りたい




画像、データ等の著作権は、 Copyright(C)2008 SQUARE ENIX CO., LTD./(C)DeNA に帰属します。 当サイトにおける画像、データ、文章等の無断転載、および再利用は禁止です。