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製造技術I


 講義の開始を知らせる鐘が鳴っ て少しすると、黒縁の眼鏡をかけ 、両手には分厚い本を幾つも抱え た、小柄な女性が現れた。

「ええと、それでは講義を始め ます。今日は……どれでしたっ け。ああ、これこれ」

 そう言いながら、本の山を漁 って一冊の古ぼけた本を取り出す。

「皆さん地下でモンスターと戦っていると 、色々な物が手に入ると思います。 一見ただのゴミにしか見えないと思 いますが、それ等を使って様々な役 に立つものを作り出すことができ ます。その方法は色々あるのです が、まとめて製造といいます」

 黒板に大きく“製造”と書くと 、眼鏡を人差し指で押し上げ、手 に持った本を目を細めて見つめ る。そんな歳には見えないが老眼だろうか。

「えええと、製造には鍛冶、木工、服飾、宝 飾、調合、調理と6つの方法があり、それぞ れにその為の道具が必要となります。それ はツールと呼ばれるもので、包丁とかすり鉢と かそういうものの総称ですね。ここでは購 買の道具屋さんで買えます。あ、調理ツールだ けは食堂の方でした」

 指で口を押さえ、慌てて言い 直す。唇にチョークの粉が付いたこ とには気づいていないようだ。 ちなみに眼鏡のフレームにも白い粉が付着している。

「例えば……この薬草と蜂蜜を… …こうやって……調合すると……」

 上着のポケットから取り出した薬草を 、本と一緒に持ってきたすり鉢に入れ 、その上から瓶入りの蜂蜜を垂らして 、すりこぎでゴリゴリと擦る。

「回復薬の出来上がりです」

 彼女は出来上がった液体を すり鉢から直に飲むと、一息ついて。

「はー、癒されますねぇ……。あ。あ あああとは実際にやってみて貰った方 が早いと思います。一番簡単なのは、 今の薬草と蜂蜜の調合でしょうか。そ それから、レモンとショウガと蜂蜜を調合し て解毒薬を作っておくと、いざという とき役に立ちます。初めの内は失敗ば かりしてしまうと思いますが、何度も 繰り返して実践を積めば失敗は減って いきますので。そそそれでは、今日の 講義はここまでです」

 そそくさと教室を出て行く先生。 机の上に忘れていったすり鉢は届け てあげるべきだろうか。


─End of Scene─


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