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精霊の泉


 南へと続く小道を進むと、やがて小さな泉の辺《ほとり》に出た。
 湛えられた水は恐ろしく澄み切り、波ひとつ無い水面は鏡のようだった。 水際には小さな蓮の花がいくつか咲き、 薄暗い森の中に白い彩りを添えている。
 道はそこで途切れており、他に脇道らしきものも無いのだから、 これで行き止まりと考えて良いだろう。

 一応泉の様子を調べてみるか、と足を踏み出した時だった。

(おっと……)

 うっかり足元の小枝を蹴飛ばしてしまった。
 小枝はくるくると回転しながら宙を舞い、泉の中央に着水する。 波紋が泉一杯に大きく広がり、水面に映る景色をかき乱した。
 次の瞬間――。

(……!?)

 出し抜けに、一人の女性が水上に現れた。
 女性は濡れたように薄く透ける白い長衣を纏い、 プラチナブロンドの長い髪をひとつに束ねて肩から胸に向けて垂らしている。
 裸足のつま先は僅かに湖面に沈んでいるものの、そこに床が無いことは明らかだ。
 水精の類だろうか?
 彼女は半ば閉じかけた眼で、静かに〇〇を見やった。

「貴方が落としたのは、こちらの金の木の枝ですか?  それとも、銀の木の枝ですか?」

 身構える〇〇に向けて、彼女は両手を差し出した。 手にはそれぞれ、金色の枝と銀色の枝が持たれている。
 どちらも落とした木の枝とは似ても似つかない。 それ以前に、そんなキラキラした木の枝自体、見たことも無かった。 彫金細工か何かだろうか。
 とりあえず正直に答えておくとしよう――そう〇〇が考えた瞬間。
 水精が、す、とその両手を下げた。

「残念、時間切れです。のろまな貴方には、 これをあげましょう」

水精

〜戦闘省略〜

「あら。近頃の若者にしては、根性がありますね」

 水精は意外そうな顔で小首を傾げて見せた。

「では、せっかくですから参加賞を進呈いたしましょう」

☆〇〇は霊木の箱を手に入れた!

「それではごきげんよう……」

 その言葉を最後に、 水精の姿は景色に溶け込むようにして跡形も無く消えてしまった。 泉は何事も無かったかのごとく、 再び鏡のように静かに水を湛えている。

 しばし呆気にとられた後、〇〇は手の中の“参加賞” を再確認した。
 木製の武器……だと思うが、 何というか余りにも天然の素材の良さを重視しすぎている。 強度は到底期待できないし、よく見ると花まで咲いている。 これならその辺で拾った枝きれと大差ないように思えた。
 もっとも、仮にも精霊に授かった武器なのだから、 何か物凄い価値を秘めている可能性が無いでもない。
 単にからかわれているだけだという可能性もあるが、 余り深くは考えないことにしよう。

−End of Scene−

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