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聖公庁地下

☆○○○は毛皮を手に入れた!

 ――野生の獣が、なぜこのような屋内に……?

 負傷した右腕の噛み傷を押さえつつ、モルトは首をふった。

 床には撃退した獣の長い毛が散乱していた。

 ただの野生オオカミとは思えなかった。

魔獣とも呼ぶべき、凶暴な膂力。そして、 噂に聞く“人狼”のような、驚異的な耐久力……

 きつく押さえた右腕から、ポタリと血が落ちた。

「――!」

 目をやったモルトは驚きに目をみひらいた。

深手と思えた右腕の傷が、シュウシュウという音と煙をたてつつ、 みる間にふさがってゆく!

 ――オレは、人間ではなくなってしまったのか? いや、 そもそもオレは、人間だったのか!?

 完全にふさがった傷口をみた彼は、恐慌にかられて駆けだした。


 黒い石壁の地下道を全速力で抜け、夜の中庭に躍りでる。

 月夜の夜風が頬にあたる。
 その瞬間、混濁した記憶が、明確によみがえるのを感じた。

 ――そうだ。オレの名はルクレチア陸軍“ブラックベレー”名誉隊長、モルト・グラッスス少佐。聖公シエロへの不敬行為でとらえられ、地下に投獄された。  そしてカルミネラという魔女に、何かを投薬されたのだ。  ――つまりここは、聖公庁の中庭か。  徐々に沈着さをとりもどす。  首に手を伸ばすと、指に新しい針のあとがふれた。 それは最後の記憶から、 ほとんど時間が経っていないことを意味していた。

「フン、あの魔女に何をされたかは知らないが……」

 オレはまだ人間だ、と脳中でつづける。
 ふと足もとをみおろすと、悠然と庭を横切る黒猫の姿があった。

─End of Scene─








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