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聖公の間 |
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「○○さん、つかまって!」 中空から突然、黒いドレスの少女が現れた。 差し伸べられた腕を無意識につかむ。 少女の細腕は信じがたい腕力でモルトの巨体を持ち上げ、 虚空に引きずりこんだ。 モルトは徐々に○○の自我を取り戻し…… 「ツヴァイ!?」 「――あら?途中で目を覚ましてしまいましたか」 少女はまるで“不味いものをみられた”とでもいう具合に、 その完璧な造形の首をかしげた。 周囲の光景はものすごい速さで後方に流れてゆく。 ○○はそれをどうしても記憶にとどめることができず、 一瞬後にはまた別の光景を眼前にする。 まるで飛ぶように、ぐいぐいと虚空を引き摺られ―― 気がつくと、円環の広間に立っていた。 きょろきょろとあたりをみまわす○○に、 ツヴァイがどこか意地悪げな笑みをみせる。 「どうしました?ここに来るのは初めてではない筈ですけれど――?」 それより先に言うことがあるのではないか、 と無言で抗議する。 その空気を察したかのごとく、彼女がつづけた。 「単書が異常光を発したので、 若干イレギュラーな方法で―― 強制排出処置を採らせていただいたのです。 この書はこのような危険な物語ではない筈――」 黒衣の少女の言葉を、脳内で翻訳してみる。 事情はよくわからないが、何か深刻なトラブルが生じ、 ○○はエルアークに連れ戻された――そういうことだろうか? ○○が問うと、ツヴァイはこくりと首肯した。 「そうです。“外部”からの干渉―― あるいは他の原因によって、この“ルクレチア物語” という単書からは、『本来の結末』 が失われていたようなのです。そうですね、 端的に述べますと――貴方は“モルト”として死ぬ以外、 選択肢がなくなっていました」 しごく物騒な内容を鈴を転がすかのごとき声音で言い放ち、頬に人差し指をあてる。 「今回は“落丁”と呼ばれる現象とも、 すこし違うようです。 “挿入栞”が途中で機能を停止しエルアークへの出入りも不可能になりました――そう、まるで人為的な、『罠』のような……」 さいわい大変なことになる直前に、 “書”の異常が察知され、 ギリギリのタイミングで貴方を連れもどすことができました、 とツヴァイは胸を張った。 ……もう少し遅れたらどうなったのか。 「大変なこと」の内容はあえて聞かないことにする。 「――非常に興味深い現象ではありますけれど、 このような事故を引き起こしたことが発覚しては一大事です。ここは可及的速やかに原因を突き止め、事態の隠蔽……いえ、解決を図らないと」 それは誰にとっての一大事なのか、 という疑問を封印して○○は問う。 ……そもそも、この“嘆きの聖都”とは、 どういう結末の物語であったのか? 「そう、問題の核心はそこ――貴方が体験すべき 『本来の結末』が失われたことなのです。 つまり貴方――モルトは何処かで選択を誤った。 あるいは“誤らされた”のです。 ただ、いったい、いつ、何処で――?」 モルトはどこで選択を誤ったのか?何が間違いだったのか? 今までの冒険を思いおこしてみる…… ―See you Next phase― [行動選択] ├まだ決めていない ├風まかせ ├セルリアと出逢ったこと ├テロリストに味方したこと └セルリアと別行動をとったこと |
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