エルアーク情報局ﾘｻﾞﾙﾄ集

母との旅

　洞窟を抜けた時、母さんが不意に呟いた。

「ﾒﾙﾌｧﾃｨｱ……」

　それは、時を遡る前の実戦の時、上級位魔女ﾏｷﾗﾃｨが死に際に発した名前だった。

「……それ、誰のこと?」
「魔女たちの女王だ。今から15年前、女王ﾒﾙﾌｧﾃｨｱは領土拡大を企み、我らの土地ﾘｸﾞﾄﾞ･ﾄﾞﾗｾﾞﾘｱに侵攻した。魔法大戦は、その日から始まったのだ」
「じゃあ、その女王を倒せば、戦争は終わるってこと? だったら戦力を集中して、一点突破した方がいい」
「……ﾌﾘｰｾﾞｲ。ｸﾞﾗｲﾊﾞﾙﾄﾞを知ってるな?」
「もちろんだ! 父さんの一番弟子で、悪鬼と呼ばれた英雄でしょ?」
「その悪鬼が、女王には手も足も出せずに戦死した」
「えっ……?」
「精鋭部隊を率いて戦ったが、結果は全滅。力押しで勝てる相手ではない。戦略がなければ、女王に近づくことすらできない」

　並ぶ者なき猛将と言われた男でも、女王にはまったく歯が立たなかった……。
　僕には、女王の力が想像できなかった。

　ある森林地帯の上空に出た。

　空中で竜を止めた母さんが、眼下に広がる森林地帯を眺めている。

「見せたい物がある。ついてこい」

　僕たちは、森林地帯の奥に竜を下ろした。
　母さんは竜から降りると、目の前に立つ大きな一本の木に触れた。

「ﾌﾘｰｾﾞｲ、覚えておけ。ここが帝王が戦死した場所だ」
「父さんが、ここで……?」
「お前とこの場所に来れるとは思っていなかった」

　寂しげに木肌に触れる母さんの姿を見て、母さんは、父さんのことをどう想っているのだろうと思った。

　僕は、母さんに父さんのことを……。

─See you Next phase─

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