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遠征試験 |
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洞窟を抜けると、広く戦場を見渡せるポイントに到着した。 遠方で、長く尾を引く光と光が激しくぶつかり合い、 火花を散らしている。 ライダーと魔女の死闘だ。 その中でも一際目立つ、鬼神のように強いライダー。 遠目でも、あまりにもはっきりとわかる。 母さんだった。 母さんの活躍を目の当たりにし、 周囲の同級生たちが盛り上がっている。 母さんの戦いを、もっと近くで見たい。 僕がそう思った時だった。 母さんの乗った竜が、僕らのいる崖に向かって飛んできた。 母さんは、そのまま僕らの前に降り立った。 フレイシア将軍の突然の来訪に、周囲はざわめいていた。 母さんが口を開いた。 「学生諸君。この崖より先は、 どんな危険が待ち受けているかわからない戦場だ。 ここは特殊な結界により守られているが、前途ある諸君らの命、 ひとつとして無駄に散らせたくはない。この結界から、 一歩たりとも外に出てはならない。よいな?」 こんな風に雄弁に話す母さんの姿を、僕は生まれて初めて見た。 母さんはやはり軍人であり、この国の将軍なのだ。 僕は改めてそう実感した。 ミシアレシアが、僕に耳打ちをした。 「ねえねえ、フリーゼイ。首席だってこと、おばさまに報告したら?」 「う…うん」 僕は、母さんの前に向かって、一歩踏みだした。 「どうした?」 「母さん。ぼ…僕、今、アカデミーで首席なんだ」 「……首席? 上位クラスでか?」 「う…うん」 「そうか……」 ほめられることを期待していたわけではなかったが、 母さんのそっけない反応に、僕は少しがっかりした。 そんな僕の気持ちを忖度するでもなく、母さんは話を続けた。 「フリーゼイ。お前の父は誰だ?」 「ヴァレイ……、帝王ヴァレイです」 「そうだ。お前は帝王と呼ばれた男の息子だ」 その時、母さんが、一瞬微笑んだような気がした。 「ならば、一瞬たりとも自分の居場所に安息を求めてはならない」 「えっ……?」 「フリーゼイ。上がっていけ。ライダーの極みへ」 母さんは竜に乗ると、ミシアレシアにも声をかけた。 「ミシアレシア。お前も決して男に負けるな。ライダーに求められる能力は、 あらん限りの母性を自分の竜に捧ぐことだ。女の方が強くなれる」 「は…はい!」 ミシアレシアの返事を待たず、母さんは再び戦場へと飛び去っていった。 ミシアレシアの返事を待たず、母さんは再び戦場へと飛び去っていった。 「おばさま、やっぱりフリーゼイのこと気にかけていたわね。それに、 私のことまで……、嬉しい」 「う…うん」 僕も嬉しかった。 強くなりたい。 そして、行きたい。 ライダーの極みへ。 母さんの言葉で、その想いはより強くなった。 ─End of Scene─ 次回行動選択 (12時間更新) まだ決めていない 風まかせ 続ける エルアークへ戻りたい |
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