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時を渡る姫





 勇者フリーゼイ……。
 その呼び名は、今の僕には実感が湧かなかった。

「歴史では、あなたがアカデミーに入学してから魔法大戦が決するまで、 たった6ヶ月しかなかった。それだけの時間では、あなたが勇者として覚醒するのに時間が足りなかった。だから……」
「……だから?」
「あなたにサルバの力を使わせて、何度も同じ時を繰り返させたのよ。 この6ヶ月という時間で、あなたが勇者として覚醒するだけの経験を積めるように」

 ……これで、すべてわかった。
 この時を渡る旅は、すべて仕組まれたものだったということが……。
 母さんの言葉が、頭をよぎる。

 サルバが…ミシアレシアを殺したというのなら…、それには…きっと深い意味がある……。

「つまり……、サルバが、君を殺したのは……」
「そう。あなたが、自分の意思で時を遡るためにやったこと……。 私とサルバで決めた計画なの……」

 すべて、すべて仕組まれていた。
 僕に力をつけさせるため、勇者として目覚めさせるために、 ミシアレシアは自らの命をも利用したのだ。
「全部、偽りだったのか? 僕と仲良くしてくれたのも、全部……」
「いいえ……。それは違うわ!」

 ミシアレシアは、頬に幾筋もの涙を流していた。

「私は……、女王の娘として生まれた時から、 一度も家族を感じたことなんてなかった。だから、 あなたと、おばさまと、ミルトさんと暮らしたこの1年……、 みんなの優しさに包まれていたこの1年が、本当に幸せだった。 そして、フリーゼイ。初めは弟みたいに思ってたのに、少しずつ、 私はあなたに惹かれていった……」



 ミシアレシアの唇が、ゆっくりと離れていく。

「ミシアレシア……」
「あなたを、だましたかったわけじゃないけど……。 ごめんなさい。あなたを傷つけた……」

 僕は、ミシアレシアの肩に両手を乗せた。

「いいんだ、ミシアレシア。君を責めたりしない。それどころか、 感謝してる。君が僕を導いてくれたおかげで、僕は色んなことを知れたんだ。 それに……」

 ミシアレシアが、僕の言葉を待っていた。

「僕もミシアレシアが好きだ。僕の前に現れてくれただけで、感謝してる」

 僕は、ミシアレシアを抱きしめた。
 世界中の時間が止まったようだった。
 しばらくそうしていると、ミシアレシアは僕から離れ、 自分の槍に短い呪文を唱えた。
 鈍い光だった槍は、たちまち聖銀の輝きに包まれた。

「この時代の女王は、すでに不死の呪文を自分にかけているわ。 だから、その呪文を破る槍でなければ、女王の魂を貫くことはできない。 これは未来の世界の迫害された魔女たちが、長い時間をかけて作り上げた槍よ」

 ミシアレシアは、その槍を僕の方に差しだした。

「この槍なら、女王を倒せるのか?」
「ええ。未来の世界では、誰もこの槍を使いこなせなかった。でも、 あなたならできるわ」

 ミシアレシアから槍を受け取ると、サルバが天に向かって咆哮した。



「フリーゼイ……。女王を倒して。そして、未来の世界を救って……」

 ミシアレシアが、僕を見つめている。
 僕の答えは、決まっている。

「僕は、もう勇者なのかな」
「ええ、あなたはもう目覚めている。素晴らしい勇者よ……」

「ありがとう、ミシアレシア。この槍で、すべて終わらせてくる」
「ありがとう……。フリーゼイ」

 僕は、サルバに乗った。

 時を遡れば、女王との決着が待っている。
 これが、最後の時渡りになるだろう。

 突然、大きな不安が胸をよぎった。

「……ミシアレシア。女王を倒したら、娘である君の存在も消えてしまうんじゃないのか?」
「ううん。あなたは、何度も見てきたはずよ。たとえ出来事が変わっても、運命からは逃れることはできないの。私たちの出会いが運命なら、必ず導かれて、また出会えるわ」
「わかった。じゃあ約束する。必ず女王を倒して、未来が救われたことを、君に報告しにいく」
「ええ、待ってるわ。フリーゼイ」

 僕とサルバは、再び時を遡っていった。

聖銀槍シルヴァリィシルティンを手に入れた!

─See you Next phase─



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