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面影


 魔女の巣の最深部、祭壇の間に到着した僕たちは、 近くにあった岩陰に竜を止めた。
 狭い空間では竜は目立ちすぎるし、長時間の飛行で、 サルバも母さんの紅竜メシアも疲れ果てていた。

 巨大な祭壇の正面に、僕たちに背を向ける女王の姿があった。
 ほとんどはドゥーレイ隊の所へ行ってしまったらしく、 わずかな数の取り巻きが女王を守っているだけだった。



「この程度の数ならいける。 ドゥーレイ隊の所から魔女たちが戻ってくるまでがチャンスだ」

 母さんの合図により、ライダーたちが槍を構えた。
 竜に乗って戦うばかりがライダーではない。
 白兵戦で戦い、いざという時に潜ませた竜を呼びだすのもライダーの戦術のひとつだ。

「お前たち全員で一斉に仕掛け、取り巻きどもを集中させろ。 私とフリーゼイは、その隙に女王の元へ走り、やつを討つ」

 ドゥーレイ隊の時と同じだった。
 フレイシア隊すべてのライダーの命を使った、わずかな時間稼ぎ。
 総力戦とは、こういうことだ。
 母さんは、女王を貫くたった一撃のために、 初めからすべてのライダーの命をかけるつもりだったのだ。

「仕掛けろ」

 母さんの命令で、フレイシア隊の4人のライダーが一斉に岩陰から駆けだした。
 女王を守っていた取り巻きの魔女たちが、ライダーを目がけて一斉に移動する。

「行くぞ、フリーゼイ」

 僕と母さんは、祭壇へ向かって走った。
 ここまで共に旅をしたライダーたちの、断末魔の叫びが聞こえる。
 僕と母さんは、祭壇の前に立つ女王の背後に立った。

 女王は、こちらの接近に気づかないのか、微動だにしない。
 母さんは槍を構えると、躊躇なく女王メルファティアの身体に突き刺した。

 これで、僕たちの勝ちだ。
 魔法大戦は、終わる……。

 そう思った次の瞬間、母さんの槍は女王の身体をすり抜けた。
 女王の身体が、スッと消えていく。

「幻影か……」

 僕と母さんは背中を合わせて、辺りの様子を伺った。

「母さん……。女王は、ここにはいないのか……」
「いや……、いる。気配を……感じる……」

 母さんの額からは、異常なほど汗が流れている。

「フリーゼイ。今のうちに言っておこう」
「な…なんだい、母さん?」
「……お前を憎んでいたわけではない。ただ、 私は自分が母親であると思うたび、ヴァレイを失った痛みに苦しめられた。 だから、軍人に徹さなければ、私は自分の心を保てなかった……」
「いいんだ、母さん。僕は気にしていない」
「お前に、何ひとつとして母親らしいことをしてやれなかった。 私が弱かったために。すまなかった」
「………………」

 母さんは、悟っているのだろう。
 これから始まる女王との戦いで、おそらく自分が死ぬことを。

 ───その時だった。
 辺りに、不気味な声が響き渡った。

「死の恐怖に陥った時、人は忘れていた愛を取り戻す……。 なるほど、美しいものだ」

─See you Next phase─


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