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竜頭の樹上 固有秘蹟
死ぬ気でアリィ

「マジで!? お前結構怖いもの知らずだな!!」

 じゃあ、エンダー相手に変えようか?

「嘘です御免なさい。○○の勇気に敬意を」

「…………」

 すぐさま態度を変え、わー、と拍手するエンダーを半眼で見て、 そして○○は視線を少年からその隣に立つ少女へと向ける。

「己、ですか」

 一歩、黒髪──今は蒼白い長髪の娘が、ドレスの裾をはためかせながら○○の方へと進み出た。その仕草にあわせて、空間がばちりと音を立てて弾ける。
 彼女に視線を向けられるだけで、身体が自然と萎縮する。本能による反射。根元の部分で、自分よりも明らかに強い存在を前にしての、生物ならば抗い難い純粋な反応。

 我ながら、何故彼女を相手に選んだのかさっぱり理解できない。

「──桜枝」

 アリィがそう呟くと、周りの空気が流れて巻き、 彼女の右の手に凝縮されていく。 集まり、淡い輝きすら放って固まったそれは、 アリィが一度振り払う仕草を取ると同時、単なる空気の塊ではなく、 細く長い一本の木枝へと変化していた。
 そして彼女の身体を淡く覆っていた光がその枝先まで伝わると、 ぞわりと桃色の花が一瞬にして咲きこぼれた。 散った花びらは地面に落ちる事無く渦を巻いて辺りを漂い、 踊るように彼女の周りを舞い始める。
 その光景は酷く幻想的で──確かに、 彼女が人とは異なる尊き者。神に近き、いや、 神が如き人であるのだと否応無く理解できてしまう。

「…………」

 アリィは無言のまま、ふいと顔を横へと向ける。 その先には杖を肩に担いでのんびりとこちらを眺めていた老師の姿。 彼は向けられた視線の意味を正しく解し、

「アリィさんの準備は整ったようですが、○○さん。貴方のほうはどうです?」

 その言葉に、○○の身体の硬直が解けた。
 そうだ、今から彼女と戦わねばならないのだ。 それは自分で選んだ事。こうして固まっている場合ではない。
 ○○は深呼吸を一つ。そして両の手で己の頬を張ると、 愛用の武器を手に取り、身構えることで返事とする。

「そうですか。では──アリィさん。これはあくまで、 今貴方の栞に繋いだ縁の道筋を確かにするための準備運動です。 くれぐれも全力を発揮しないよう。今回、貴方に繋がった力だけを使い、 慣らす形でお願いします」

「はい。……?」

 老師の注意に対して返事した後、 何故か僅かに首を傾げたような気がしたが、きっと見間違いだろう。

「○○、がんばれよー」

 いつの間にか老師の隣にまで移動していたエンダーが、 酷くにこやかな笑みで手を振っている。完全に他人事といった態度だが、 恐らくこの戦いの後、 自分もアリィを相手に戦わねばならないことをすっかり忘れているに違いない。

「それでは、お二人とも。始めてください」

 合図と共に一歩。アリィがこちらに向けて足を踏み出す。
 たったそれだけだというのに、身体が一瞬硬直する。だが、 いつまでも怯んではいられない。ここは時間を掛けては駄目だ。 躊躇わず、一気に行かなくては。
 ○○は武器を構え直すと、裂帛の声と共に飛び出し、 アリィとの距離を一瞬で詰める!







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