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ルロイド研究所

地下未踏空洞Lv9から降りるを選択⇒次更新

 今まさに戦闘が始まろうという時。

 奇妙な高い音が通路の奥の方から聞こえてきた。
 その音に反応して蟻達が振り向く。
 その内の一匹が同じような音を発する。
 また奥から音が聞こえる。先程とは音の調子が違っていた。

「そっちのアンタ達も物騒なモノはしまい給え。ここは中立地帯だ。 やるなら他所でやり給え」

 奥から現れたのは意外にも人間だった。
 白衣を着た女性……というより、女の子だろうか。 しゃべり方は尊大だが背はちっちゃく、白衣の裾をひきずっている。

「ム……。そこ、今お子様だとか思ったろ。こう見えてもワシは……」

 寸分の狂いなくきっちり切り揃えられた前髪の下の眼鏡を指で押し上げ、尊大な少女が〇〇を睨む。
 確かにお子様だ、そう思った時、聞き覚えのある声がした。

「おんやあ、〇〇じゃないか。こんなところで会うとは奇遇だねえ」



 見覚えのあるツインアンテナが姿を現す。

「ム……。こいつらはお前の知り合いなのか、ミーア?」

「まあなー」

 そうこうしているうちに、 先程戦闘になりかけた蟻達はこちらを警戒しながらも立ち去っていってしまった。
 何が起こったというのだろう。

「こいつ、蟻の言葉を話せるんだと」
「蟻ではない。アントリアンだ。彼らはこの地下に巨大な帝国を築いている種族だ。高い知能を持ち、高度に統制されたヒエラルキー社会と、高い製鉄技術、エネルギー転換技術を持っていて……」
「分かった分かった。で、あいつらの技術を盗むためにここに家建てて住みついてると」
「盗むとは人聞きの悪い。学ぶためだ。それに家ではない。研究所だ。ルロイド研究所と呼び給え。 ここで日々行われている研究は人類をデモノイドの脅威から救うため……」
「そうそう、あの蟻ってデモノイドじゃないらしいぞ。知ってたか? アタシなんか人間以外はみんなデモノイドだと思ってたよ、ワハハ」
「何を言うか。デモノイドというのはだな、人間にとっての酸素のように、光を吸って闇を吐く特定の種族とその支配下の眷属達の事で、外見は様々だが……」

 そろそろそっちのちっちゃい子を紹介してくれないだろうか。

「ム……。いまちっちゃい子とか思わなかったか? こう見えてもワシはミーアと同い年で……」
「こいつはテルミナ。学園にはアタシと同期で入学したんだけど、一人でさっさと卒業して正規軍で兵器開発だかなんだかをしてたはずなのに、いつの間にかこんなところに引きこもって、一人で蟻研究してやがったオチビサンだ」
 ミーアがテルミナのおかっぱ頭をぽんぽんと叩く。ミーアも小柄な方だが、テルミナは更に背が低い。
「オチビサンと呼ぶな! テルミナ=ルロイド博士と呼び給え!」

 研究所に案内される〇〇。
 そこは地下だというのにかなりの大きさの施設だった。
 トンネルには大小幾つもの部屋が用意され、それぞれに机や書棚、 何かの部品などが積まれた棚、食器棚や厨房まである。 水や食料さえ調達できればここで生活することもできそうだ。
 ミーアも地下空洞調査中にここをたまたま発見し、以来、 中継基地として利用しているのだそうだ。

「テルミナが作ったビーコン使えば、帰還の護符使うだけでここにこれるからラクチンだしなー。あ、あんまり大っぴらに使うなよ? こんな狭いところに皆で押しかけられたら困るし、テルミナも静かに研究したいだろうからな」
「ム……。お前達にも分けてやっても良いが、タダではやらんぞ。研究資金は幾らあっても無駄にはならんからな。たくさんあるから幾らでも買って行き給え。あ、ちなみに使い捨てだから、それ」

 ……金を取るのか。だが、ここまで歩いてこないですむのは非常に助かる。
 しかし、来るときは良いが、帰りはどうするのだろうか。

「テルミナの家――ここじゃなく本当の家な――までこっそり昇降機をつけてあるんだよ。こっちからしか操作できないから、上から降りてくるにはこいつと一緒に行かないといけないんだけど。帰るだけなら送ってくれるってさ」
「ウム、送るだけならこっちから操作できるし、消耗品ではないから、タダで送ってやろう。ちなみに上で家の呼び鈴を鳴らしても、当然ここまで聞こえたりはせんからな。呼んでも無駄だぞ」

 テルミナが大きな金属製の箱の前で立ち止まる。一見、大きな金庫のように見えるそれから、突然不思議な声が聞こえてきた。

「イラッシャイマセコンニチハ」
「こいつはワシの代わりに商売をしてくれる機械だ。ここに金を入れてこのスイッチを押せば商品が出てくる」

 テルミナがたくさんあるスイッチの一つを押すと、 ガタンと音がして箱から何かが吐き出された。

「ここにどのスイッチが何に相当するか書いてあるから。 値段はそっちの目録に記述してある。 こっちがアントリアン用でこっちが人間用だ。時々、 アントリアンもここに買い物に来るから、 鉢合わせてもいざこざは起こさないでくれ給えよ」

 一通り案内され、〇〇達は研究所の入り口へと戻ってきた。

「こんなところか。設備は自由に使ってくれて構わんが、 研究資材には勝手に触れたりしないように。 それから、ここではアントリアンといざこざを起こさないこと。 連中にも言ってあるので、 向こうから仕掛けてくることはないはずだ。 ああ見えて律儀な連中だからな」

 テルミナがこちらに背を向け、研究所へと戻っていく。

「……まあ、その内、何か手伝ってもらうかもしれんし……なんだ、 その、よろしく頼む」

 そのままそそくさと行ってしまうテルミナ。
 その姿が見えなくなってから、笑い出すミーア。

「ガハハハ、相変わらず照れ屋だな、あいつは。 さて、アタシも一度帰るかな」

 ミーアも研究所の方へと去っていった。
 とりあえず、これで地下空洞の調査はしやすくなったようだ。
 先程ちらっと商品目録を見たところ、 商品の値段がやけに高かったような気がするが……。

─End of Scene─




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