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ウニオ・ミスティカ

「この任務には、死をひきかえにするだけの価値がある」

 モルト・グラッスス大尉の言葉に、部下たちは静かにうなずいた。

「目標は戦局を大きく左右する、敵の最高機密である。われわれブラックベレーは敵研究施設に進入し、これを奪取する」

「例の“氷箱”でありますな!」

 合いの手を入れた副隊長に、モルトが顔をむける。
 

「そうだ。中身を冷却状態でもちはこぶための、特殊な保冷箱だ」

 ここは敵国ザクソニア侯国との国境を目前にした、最前線の拠点。
 大尉のひきいるルクレチア陸軍特殊作戦群“ブラックベレー”には、『ある箱』の奪取任務が命ぜられていた。

「――この戦争はのちに“大戦”と呼ばれることになるだろう」

 日没と同時に移動開始。
 全員を集めてのブリーフィングは、これが最後となる。

「そして後世の歴史家は、こう書きのこすのだ。邪悪な侵略者の魔の手からルクレチア共和国を救った、無名の兵士たちがいた、とな」

 大尉はそう締めくくった。
 兵士はみな無言だったが、その瞳に静かな決意の表情を浮かべていた。

「――“角刈”!」

 モルトが声をかけると、ブラックベレーのひとりがビシッと足を止めてふりむいた。

「調達品の一覧はあるか?」


ウニオ・ミスティカ

「ハッ、こちらがそれです!」

“角刈”と呼ばれた若い補給担当官が紙片をさしだす。
 モルトら士官には、軍装品の自費購入が認められている。
“角刈”の調達品リストを眺めながら、つぶやく。

「火器が貧弱だな」

“角刈”がニッと歯をむいた。

「――お望みなら、改良してさしあげますよ」

「改良?」

「ハッ! 部品を追加して高性能化するのです。たとえば、『グラディウス』と『ボルトアクションライフル』の組みあわせで接近戦仕様の銃剣の制作が可能です。必要な部品をそろえて、自分のような技能をもつ者にお声をおかけいただければ、いつでも」

「ほかに、どのような改造が可能なのだ?」

「外国人部隊では『ボルトアクションライフル』に『望遠レンズ』と『ローズウッド材』を使用して狙撃仕様としたり、『マガジン』を『鋼材』で組みこんで連射式の突撃仕様とするのが流行のようです。但し、取り扱いが難しくなるので注意が必要です」

「軍規違反ではないのか」

「いえ、規則がありませんので黙認状態です――もっとも考案されたばかりで、未来にでも行かないと入手不能な部品もありますが」

 補給担当の言葉に、モルトは肩をすくめて苦笑した。
 いずれにせよ、任務中は備品調達の場も限られる。おそらく今回は、これが最後の場となろう。

─End of Scene─






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