TOP[0]>攻略ルート選択 >リザルトTOP

エルアーク:東門の護り手

 青い蛇のような獣がにょろにょろと空中を泳ぎ、 霧の山頂に開くいつもの平地の中央へと移動。 そして○○と老師が並んで立つこちらを振り返り、一声鳴いてみせる。 向けられた視線からは「いつでもいーよ」といって意思が伝わってきた。

「では、今日のお話に入りましょうか。 今日は冷の属性術式に関して簡単にお話ししようと思います。 では、早速――青龍」

 老師が指を鳴らすと、空中で停止した青い蛇――老師が呼ぶ名に従えば龍か ――を取り囲む霧の獣達が三匹。
 それに対して、青龍が小さな両手を掲げる。すると、 爪の先端から大小二本の矢が生まれ、打ち出されたそれは左右の獣を突き抜けて 、もう片側はそのまま敵を突き抜けて、 もう片側は敵を凍りつかせつつ消滅。 続いて龍は口蓋を大きく開くと、 そこから鋭い水流を放って最後の一匹を消し飛ばした。
 そして「これで良い?」といった風にひょこと首を傾げる青龍に、 しかし老人は少し困り顔。

「……青龍、少し違うスキルが混じっています。 最初と二番目の“コールドボルト”と“フリージングアロー”は良いですが、 “ウォータースピット”は○○には通常の手段では関連付けができませんよ。 そうですね、“フロストバイト”あたりでお願いします」

 続いて現れる霧の獣に、青龍は今度は白い粒子状の吐息を吐き出す。 それの直撃を受けた霧の獣はあっという間に凍りつき、 固まった身体をずしんと横向けに倒して動かなくなる。 それを見届けて老師は満足げに頷いた。

「結構です。では、冷属性の術式の特徴についてですが、 その名前の通り、 主に冷気によって対象に変化を与える技達がこれに分類されます。 先程名を挙げた“コールドボルト”、“フリージングアロー”、“フロストバイト”等があります。 ちなみに“ウォータースピット”のような水流による攻撃もこちらに 分類される事が多いですが、少々属性にズレがありますからな。 素直に冷属性の術式についての習練を積むだけでは覚えられませんのでご注意を」

 注意と言われても、なら一体どうすれば覚えられるのか。
 思わず○○が口を挟むと、老師は顎を撫でつつ首を僅かに捻り、

「確か、他の系統との掛け合わせで水混じりのスキルがいくつか ……あと弓単独でもあった気もしますが、そちらは門外漢ですので、 別の方に聞いてみてください。ウォータースピットに関しては、 別の手法――関連付けの切っ掛けになる書物等の品があれば、 その時点で熟練が一定に達していたなら関連付けが成立する筈ですがね」

 そして老師はとんとんと手にした杖で階段を二度突く。 するとまた青龍の周囲に霧の獣が音も無く現れ、 次いで青龍の隣に水の玉が生まれ、 そこからのそりと青色の巨大な蛸が這い出てくる。

「それで話を戻しますが、冷属性……といいますか、 負に属する力は相手にダメージを与える事より、 敵の行動阻害を得意とします。 炎熱の属性が燃焼というダメージ付加の状態変化を持つように、 冷気の属性は“凍結”を主な状態変化として持っています。 凍結は付与した相手を1ターン行動不能にするという強力な状態変化ですので、 使い方によっては、敵を全く行動させずに延々攻撃しつづける事も可能です。 ただし凍結は対象者が攻撃を受けた際に氷が剥がれて状態変化が解けてしまいますので、 ダメージを与えつつ常に凍結状態にさせるには相応の手順が必要となりますが ――上手くやれば、あんな風に」

 まず、蛸が口から氷の礫を吐き出し、霧の獣を凍らせる。 そして一泊の後、蛸が手を鞭のようにしならせて霧の獣を叩いた。 その一撃により身体を覆っていた氷が砕け、獣が動き出そうとするが、 しかしそのタイミングを見計らったように青龍が氷の吐息を放ち、 再度霧の獣を凍らせてしまった。
 そのまま蛸と青龍は全く同じ行動を三度続けて、 霧の獣は結局一度も動く事無くその身を砕かれ、消滅してしまった。

(……これは)

 酷い。というか、ちょっと強力すぎないだろうか。

「もちろん、凍結が通用しない敵も存在しますし、 それに冷属性のスキルは炎属性における“ドライ” のような連携しやすい状態というものが存在しませんので、 凍結や麻痺等を無効化する敵を相手にする場合は、 炎や光等の正に属するスキルで攻めた方が利口でしょうな。 その辺りは臨機応変に選択し、行動するといいでしょうね。 ということで、次は冷属性の補助についてですが――」

 また老師が杖で階段を突いて、新たな獣を数匹呼び出す。 今度の霧の獣は今までになく凶暴な気配を放ち、 まず巨大な蛸をその標的と定めて動き出した。
 一匹目が素早く飛び掛り、 その上を飛び越えるようにして二匹目が襲い掛かる。 一匹目の獣は巨蛸の胴を噛み、そのまま上空へと蛸を放り投げ、 続いた二匹目が眼前に飛ばされてきた巨蛸に対して満を持して攻撃を 放とうとした瞬間。
 絶妙のタイミングで青龍から冷気が鋭く放たれた。 二匹目の獣はその冷気を受けて空中でたちまち表像となり、 そのまま落下。 跳ね上げられた蛸は追撃を受ける事無くべちゃりと地面に着地した。

「今のが、“クリップル”。敵の連携を察知して、 対象を凍結させる術式を放ち連携を阻害するスキルです。 非常に便利ですが、あくまで“味方が連携攻撃を喰らいそうな場合” のみ割り込みをかける術式ですので注意すると宜しいでしょう」

 要するに。自分が攻撃を受けている最中に、 ああいった妨害術式を放つのはなかなか難しい、という事らしい。

「他には、冷気に強くなる保護膜を生み出す“アイスバリア”や“レジストコールド” 等はどの属性にも存在する術式ですから除外するとして―― 敵の足場を凍らせてその場に縫い止める“アイスバーン”、 冷気で敵の動きを鈍くする“スロウ”といったあたりが代表でしょうかね。 冷属性は文字通り、 相手の動きを止める事に長けた属性であると考えてもらって結構です」

 青龍が一声鳴くと、龍を中心とした地面がぴきぴきと音を立てて凍り始める。 その範囲は見る間に広がり、先程の交錯の後、 様子を見るように身構えて距離を取っていた獣達の足を凍りつかせて動きを 封じてしまった。

「後は、冷属性の呪詛ですか。冷属性呪詛で代表的なものはやはり “チルサークル”でしょうね。味方全員に、攻撃してきた相手を“麻痺” させる呪詛を付与します。 麻痺は結果だけを言うならダメージを受けても解除されない 凍結と考えて貰って結構です。その呪詛を味方全員に掛ける訳ですから、 麻痺に耐性の無い相手ならば非常に有効な呪詛です。 冷属性を学ぶならば覚えておいて損は無い術式ですな」

 そして老師はぱちんと指を鳴らすと、 氷で地面に縫い付けられていた霧の獣達がその輪郭を崩し、 単なる霧の塊に戻る。

「上位術式に関しては――青龍」

 呼び掛けと共に老師が再度指を鳴らすと、 形を失っていた霧の塊が合わさって一つの大きな塊となり、 続いて先程のものよりふたまわりは巨大な獣へと変化する。
 対し、大きく開かれた青龍の口蓋よりしゃりと凍てつく音を立てて伸びたのは 、巨大な薄青色の剣身。己の全長の数倍はあろうかというその長剣を、 青龍は身をくねらせながら華麗に振るい、霧の大獣を一閃する。 霧で出来た身体に剣が当たると同時に、 氷で出来た剣身は粉々になって砕け散るが、 しかし次の瞬間、獣の周囲に大量に散った氷の粒子が霧の大獣を包み込み、 巨大な氷像を造り出した。

「今のが“コキュートス”。氷剣でもって敵を凍結させる術式です。 この形式の術式は各属性に存在し、そのどれもがボルト系の五割増しか、 それ以上のダメージを与えることが出来るでしょう。 秘蹟用の大杖を扱う場合は主砲となりうるスキルですから、もし覚えられたなら、 間違って関連付けを解かないよう気をつけることですね」

 老師の言葉が終わると同時、氷像にぴしりとひびが入り、 中に閉じ込められていた霧の獣ごと細かく砕けて、 最後には跡形もなく消え去ってしまった。

「これで一通り話しましたかね。 では、続いていつものように体験編と参りましょうか」

 その言葉を聞いて、 青龍が嬉しげな声をあげて○○のほうへと寄って来る。 その後ろからはのそのそと巨大蛸もついてきていた。 どうやら青龍だけでなく、あの蛸も参戦してくるつもりらしい。

(いい加減この流れにもなれたが……)

 出来れば蛸や犬といったおまけは無しにしてくれると嬉しいのだが。

「とはいえ、青龍一匹だけではどうしても攻撃が緩くなりますからな。 そうなると、あなたも寂しいでしょう?」

 全く寂しくないのだが、 こちらがどれだけそれを訴えても恐らく意味は無いだろう。 無視されるのが落ちだ。

 ○○は諦めの吐息を一つついてから。
 これから青龍達が放ってくるであろう様々な攻撃をどういなすか。 その策を懸命に練り始めた。
 
 ***

小さき聖獣が現れた!
老師

 ―See you Next phase―


画像、データ等の著作権は、 Copyright(C)2008 SQUARE ENIX CO., LTD./(C)DeNA に帰属します。 当サイトにおける画像、データ、文章等の無断転載、および再利用は禁止です。