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エルアーク:南門の護り手

「では、今日は炎属性についてお話ししましょうか。朱雀、出番です」

 霧深い山の奥に空いた小さな空間。 “堂”前の階段中ほどに腰掛けていた老師が軽く手を挙げると、 足元に転がっていた四匹の獣の内の一匹、朱色の小鳥がぴぃと一声鳴いて、 階段下に立っていた○○の傍へと飛んでくる。
 まさか今日は来て早々戦闘か、 と身構える○○の横を小鳥は素通りしていくと、 かなりの距離を取ってから首だけをこちらへと振り返る。

「まだそう緊張しなくても結構ですよ。今から朱雀が、 いくつか術式を披露してくれますので、 あなたはそれを見ているだけで構いません。――そぅれ」

 老人が軽く声を上げて杖を掲げると、辺りに満ちていた霧がすぅと集まり始め 、形を持ち始める。
 輪郭のぼやけた四足の獣が、一匹、二匹、三匹。それが、 朱雀の前方にふわふわと浮かぶ。

「さて、炎属性の術式の特徴ですが、まぁ簡単にいえば、 主に炎熱によって対象に変化を与える技達がこれに分類されます。 “ファイアボルト”、“バーニングアロー”、“ファイアーボール”等、純粋にダメージを与える、 所謂攻撃の術式が多いのが特徴でしょうかね」

 朱雀が口からぼぅぼぅと尖った炎の塊を吐き出し、 次々と霧の獣にぶつけた後、一際巨大な火の玉を打ち出し、 獣たちをもろとも吹き飛ばした。

「とまぁ、こんな風にですね。ちなみに炎属性の技は主に相手を “燃焼”させる効果を持ち、 “ドライ”状態の相手にはより高ダメージを与えられる場合が多いです。 燃焼は次ターンに敵の体力に比例したダメージを与えますので、 体力の多い敵ほど効果的といえるでしょう。 ドライは乾燥した状態を示しますので、 この時に火をつけてやると良く燃える、という事ですな」

 新たに老師がぱちんと指を鳴らす。すると、 霧の獣たちの他に朱雀の隣に突然炎が立ち上り、 その中から赤色の犬が染み出すように姿を現す。

「さて、次は炎属性の補助スキルについて。こちらも、 主に熱を基盤とする術式が多くなります。 代表的なのは“アーマメルト”や“ヒートボディ”ですか。では、どうぞ」

 老師の合図と共に、現れた犬が高々と遠吠え。 それと同時に犬と朱雀の身体に粘るような炎が絡まりつく。
 続けて朱雀が前に出ると、その熱した嘴で霧の炎を貫き、 一撃でもって消し飛ばした。


「アーマメルトは熱を利用して敵の装甲を柔らかくし、 ヒートボディは自らの身体を熱して攻撃力を高めます。 後者のスキルは、自分たちが燃焼状態となるため、 次ターン時にダメージを受けますが、 しかし攻撃力の上昇幅はなかなかのものです。 上手く使いこなせば、自分達の力を大きく高めることが出来るでしょうな」

 犬が続けて、二度、三度と遠吠えを上げ、 その度に朱雀と犬の身体に炎が走る。 彼等の身体に纏わりつく炎の量が増えていく程、 彼らが宿す力も増しているようだった。

「後は、炎属性の呪詛と、上位の術式についてですか。 炎属性の呪詛は威力を重視した構成となっています。 “ダウン”状態の敵に大ダメージを与え、更に“リフト”させる “バーストサイン”等は、連携の繋ぎとして用いるには最適の術式でしょう」

 新たに生まれた霧の獣に対して、朱雀がぴぃと鳴き声をあげる。 同時に、霧の獣に刻まれる不可思議な紋様。
 続けて犬が軽く跳躍。霧の獣を上空から踏みつけ、蹴ると、 次の瞬間、突如地面が大爆発を起こし、 炎に包まれた霧の獣が天高く空に舞い上がり、そして砕け散った。

「上位の術式は、他の属性も同様ですが、 あなたが使用する場合は主に炎属性に加えて槌の形状を持つ――つまり、 術式用の杖が必要となります。威力は杖を必要としない術式よりも高く、 優秀ですし、集束術式といった特別な術式も存在します。朱雀、 “フレイムインフェルノ”」

 老人が新たに指を鳴らすと、朱雀と犬の周囲に霧の獣が大量に姿を現す。 十匹を越えるかという数に対し、 朱雀は両の翼を閉じて力を溜めるような仕草の後、 閉じていた翼を大きく開く。
 瞬間、爆発的な炎が朱雀を中心にして生まれ、 周囲を取り囲んでいた獣たちを丸ごと飲み込み、完全に焼き払った。
 離れた位置にいた○○の直ぐ傍にまでその炎は伸びて、 ○○はあわてて飛び退る。 生まれた炎は餌を求めるように暫く地上をのた打ち回り、 そしてこれ以上の獲物が無い事を確認してゆっくりと消え失せる。 後に残ったのは朱雀と、そして炎に包まれた犬。 朱雀はその威力に茫然となっていた○○に向けて、 ぴぃぴぃと愛らしく鳴いていた。


「炎属性についての話はこんなところでしょう。では、朱雀」

 老師に呼ばれて、朱雀がひょこひょことこちらに飛んできて、 そして○○と僅かに距離を置く位置で停止する。
 その間合いには、覚えがあった。
 嫌な予感に○○が老師の方を振り返ると、 彼はその視線を受けて眼を細めて笑い、

「実地訓練とまいりましょう。炎を主とする敵に対し、 どう戦えばいいのか。己で考え、そして答えをみせてください」

 やはりか。
 ○○が己の武器に手をやると同時。愛らしい小鳥の身体から、 強い炎の気配が生まれるのを感じた。

 ***

小さき聖獣が現れた!


老師

 ―See you Next phase―


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