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夜の公園

「犬の声のした方に向かう」を選択

 他よりもなお一層暗い公園の一画に、あなたは足を向けた。
 息を殺し、できるだけ足音を忍ばせて。
 妙に生暖かい異臭が辺りを漂っているのに、あなたは気づいた。
 暗い茂みの向こうから、ピチャリ、ジュルジュルと物音がする。
 ごつり。地面に転がっていた何かに足がぶつかった。

「わツ!?」

 それがだらりと舌を垂らした犬の頭のように思えて、 あなたは思わずのけぞり、しりもちをついた。
 物音が、ぴたりとやんだ。
 イヤな沈黙が落ちる。闇の向こうから、何かがうかがっているような。
 あなたの心臓は、狂ったように打ちはじめた。
 ガサリと茂みをゆらして、影がふたつ、三つと立ち上がった。

「な、なんだ!?」

 影はのそりと、茂みを分けて進み出てきた。
 ゆっくりと雲が流れ、月光にぼんやりと浮かび上がった姿を見て、 あなたは凍りついた。

「こ、こいつらは……!?」

 自分が目にしているのものを、あなたの脳は必死に拒絶しようとする。
 するのだが、そいつらはそこにいる。あなたの希望、願いにおかまいなく。




 二本の足で立ち、人の格好をしているが、 その顔は人とハイエナを混ぜ合わせたようで残忍そうで、おぞましい。
 そして、ぽっかり闇が覗いているかのような真っ黒な目。
 さらには、皮膚の内側で虫でもうごめいているのだろうか、顔のあちこちが、ぐりぐり、 ぞわぞわ、のたうつように波打つのだ。
 先頭のヤツがポリポリかじっているのは、犬の足か。
 どいつも口のまわりが一様に赤いのは、 どうやら乱暴に口紅を塗りたくったというわけではなさそうだ。
 これっぽっちも、そうではない。

「エサだ」
 
 と一人が……、いや一匹が、あなたをじっと見すえて言った。

「ああ。ワン公なんかよりは、よっぽどまっとうな飯だ。」

 と、別の一匹が、ねちゃっと舌なめずりした。
 あなたは声もなくして、ただ両目をかっと見開き、 連中を見つめることしかできない。
 どうしようもなく体が小刻みに震えだす。

「さあ、一緒に楽しくやろうぜ。なあ?」

 あなたに眼をすえたまま、連中が一歩踏み出した。その時。
 あなたの背後で小さな足音がして、連中の動きが止まった。
 そいつらの視線が、あなたから外される。
 あなたはなんとか首を後ろに向けて、背後をうかがった。
 そこに、ひとりの少女がいた。



 漆黒の髪、透けるように白い肌、青い唇。
 夜だというのにサングラスをかけている。
 歳は自分と同じか一つか二つ下かもしれない、 と頭のどこかであなたは考える。
 その年齢であればもう口紅くらいつけていても、 おかしくはない。おかしくはない。
 だが、その色が青とは……?
 少女は何も言わずに、ただ立ちつくしている。
 出くわした光景のあまりの異様さに、声も出ないのか。
 連中のひとりが、にたあ……と笑みを浮かべた。
 赤い口元に、赤く染まった鋭い牙がのぞいた。

「おやおや、今夜はツイてるなあ。うまそうなデザートでご登場だ」

 少女が連中を見すえたまま、あなたに告げた。

「立って。わたしの後ろに」

「え……?」

「はやく!」

 あなたは震える足でなんとか立ち上がると、 あわてて彼女の脇へまわった。
 楽しそうに、ヤツらの一匹がささやいた。

「お譲ちゃん、夜遊びはほどほどにしないとね。 怖い目にね、あうんだよ。人死にに出会うような」

「お前たちこそ、地獄の底でおとなしくしてればよかったのに」

 少女が腰に下げたバッグから素早く取り出したものを見て、 あなたは目を丸くした。

「それは!?」

 銃口をぴたりと連中の、真ん中の一匹にすえて彼女は答えた。

「心配しないで。実銃じゃない。改造エアガン」

 実際それは、ガンというよりはキャノンと言ったほうがいいような、 巨大な代物だったのだが。

「って、違法だろ、それ」

「じゃあ、あいつらは合法だとでも?」

 少女に狙いをつけられながらも、 連中はニヤニヤ笑いを浮かべていた。

「お譲ちゃん、そんなオモチャでオレたちが殺れるとでも?わるいが、 オレたちは不死だぞ」

 バン!少女の手の中で銃が跳ねた。
 先頭のヤツの体がブレて、胸元に大きな穴が開いた。
 しかしそいつは、依然浮かべたままで、なんら動じる風もない。
 その胸に開いた穴が、みるみるうちに修復され、ふさがって行く。

「だからぁ、そんなオモチャで、オレたちが……」

 ビシッと、その体がきしみをあげて、ひきつった。

「おアッ!?」

 笑みを消して、愕然となった顔で胸を見下ろしてから、 再び顔を上げる。

「お前……?なにをした……?」

「特製なのは銃だけじゃない。銃弾はトネリコを使ったスペシャルだ。
 お前たちを生かしてるバクテリアは、白木によって滅菌される。

 だろ、グール?喰らい鬼ども。お前はもう、不死でも不滅でもない。 ただの化け物だ」

「き、きさま……!!」

 ちらっと、あなたに目をやって、彼女は言った。

「戦って。ヤツらにむさぼり喰われたくなければ」

 そう言うがはやいか少女は冷静に、正確に、 残りの二匹にも弾丸を撃ち込んだ。
 そして、否応なく、三匹のグールとの死闘が始まった。

三匹のグール(たぶん強そう)



Draw

決着はつかなかった…


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