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街角

[見捨てて先に進む]選択

 すまない、トモキ。助けてやりたいのはやまやまだが、 オレには重要な使命があるんだ。こんなところで、 ムダな危険を冒すわけには行かない。
 ああ、なにもお前の命がムダとか、取るに足らないとか、 そんなことを言ってるわけではないから誤解するな。
 小さな虫の命だって、たったひとつの貴い命だ。みんなみんな、 生きているんだ、友達なんだ。
 って、オレは何を言ってるんだ。
 ともかく、ここはなんとか自力で乗り切ってくれ、トモキ!
 また会えることを願っている。難しいかもしれないが……。
 あなたはこころのなかで両手をあわせると、きびすを返した。
 返して、足元に転がっていた空き缶を蹴り飛ばした。
 カンカンカン!
 空き缶は塀にぶつかり、盛大な音を立てた。

「なんだ、騒々しいな。近所迷惑だぞ、静かにしろ」

 道の左右に並んだ家のドアが開いて、中から怪物たちがぞろぞろ姿を現した。
 呆然と立ちつくすあなたの背後で、

「おう、〇〇! 助かったぜ!」

 と、化け物に囲まれたトモキが手を振った。

「まったく、もう……」

 やれやれといった感じで、蒼が銃を取り出す。

「しょうがない。やるわよ」

三匹のグール(それなりに強そう)




 戦闘に勝利した。

「ふう……、なんとか片付いたな」

 あなたは肩の力を抜いた。
 ドサッとその場に腰を落とすトモキ。




「な、何なんだ、こいつら? 合宿から帰ってきたら、いきなり……。 街の様子もヘンだし……。どうなってるんだ、いったい?」

「俺にも、詳しいことはわからないけど、わかりやすく言や 、地獄の口が開いて化け物どもがこっちの世界になだれこんで来たってことらしい」

「かなりかたよった理解の仕方ね……。まあ、いいけど」

 と、きびすを返して歩き出す蒼。

「あ……、おい、ちょっと!」

「いらない手間、取らされちゃったから、急ぐの」

「そういう言い方は……。ちょっと、待てったら」

 あなたはあわてて、蒼の後に続こうとした。

「おい! どこ行くんだよ、おまえら!?」

「あ、ああ、お前も来いよ、トモキ。ひとりでうろついてても、ヤバイだけだぞ」

 そう言うとあなたはきびすを返して、ひとりどんどん先へ行く蒼の後を追いかけた。

「なんだよ、それ……。くそッ、置いてくなって!」

 と、トモキも腰を上げて、あなたと蒼を追って駆け出した。
 ひと気のない通りを、三人の影ばかりが行く。

「ところで、どうしてモールへ?」

 昨夜からの自分の経緯をざっとトモキに話してから、 あなたは蒼に当然の質問をした。

「ヤツらが集まってる気がする。あいつら、そういう場所が好きなの。 あっちの世界にはないから。はなやいだもの、きらびやかなもの、 人を楽しませるようなものとか」

 トモキが、暗い空を見上げながらつぶやいた。

「なんだか話を聞いてるだけで、もう絶対に住みたくないな、そこ。 さすがは地獄だ」

 いや、地獄じゃないんだけど、と口を開きかけて、やっぱりやめる蒼。

「それで、どうすればこの事態を解決できるんだ?」

 とあなたは、横から蒼の顔をのぞき込みながら尋ねた。

「ヘルメイツを探し出して、どうにかするしかない」

「ヘルメイツ?」

 うなずく蒼。

「連中は、二つの世界をつなぐ次元の裂け目の恒常化をもくろんでる。 裂け目は不安定だから、いつまた閉じてしまうかもしれない。いつでも自由に、 こっちの世界に乗り込めるようにしたい連中にとって、ヘルメイツが重要な鍵となる」

 トモキがうなずく。

「地獄と世界をつなぐキーアイテムってことか。ヘルレイザーのパズルボックスのようなものだな」

「ううん。そうじゃなくて、むこうの異界と、ひとつにつながって……」

「おい、もうすぐモールだぞ」


 と、トモキがさえぎるように、口をはさんだ。
 やがて三人の前に、ガランとしたショッピング・モールの駐車場が、姿をあらわした。
 その奥に、低く黒々とした丘のようなモールが、うずくまっていた。 息をのんで待ち構えていた。
 エサを。



「あなたたち、やっぱりここで引き返した方がいいと思う」

 正面をみつめながら、蒼が告げた。

「あなたたちの面倒まで、わたしにはみれないから」


 蒼の横顔を見て、トモキと視線を交わしてから、あなたは答えた。

「いや、一緒に行くよ。これからどうすればいいか、俺たちだけじゃわからないし」

「ああ。それに、自分の面倒くらいは自分でみれるよ」

 仕方ないとばかりに、ひとつ小さく息を吐いてから、蒼は

「じゃあ、行きましょうか」

 車一台ない駐車場をつっきって、あなたたちはショッピング・モールの入り口に立った。 数年前に建築された、多くのテナントショップを収容する巨大複合施設だ。
 と、それまで真っ暗だったモール内部の明かりが一斉に灯った。
 楽しげに、誘うように、ちかちか点滅する色とりどりのライト。
 玩具屋のショーウィンドウで息を吹き返した電車、液晶TVに映し出されたゲーム画面、 くるくると永遠の円運動を続ける飛行機。
 CDショップの店頭でプレイヤーのスイッチが入り、最近のCMソングが流れ出す。
 頑迷なまでにきっちりと、忍耐強く、上と下を目指して進み続けるエスカレーター。
 どこかでシューッとポットが鳴るような音がして、コーヒーの濃厚な香りが漂ってきた。
 突然息を吹き返した巨大モールには、しかしどこにも人の姿はなく、辺りは異様な空気に包まれていた。

「どうやら、一同様ご歓迎ってとこらしいわね。それじゃ、 どこから見てまわろうか」

 かすかにイタズラそうな笑みを浮かべるようにして、 蒼は横目であなたの顔を見やった。

─End of Scene─

数年前に建築された、多くのテナントショップを収容する巨大複合施設だ。

次回行動選択

・まだ決めていない
・風まかせ
・2F リクリエーションコーナー
・1F 噴水広場
・B1 食料品街
・立体駐車場
・エルアークへ戻りたい




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