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 あなたは何かに魅入られたように、 震える手をゆっくりと差し出した。

「そう、それでいいのよ。さあ、受け取って、 贈り物を。わたしたちの家族を」

 女の手の上で、それがあなたを見つめる。 細長い2本の触覚をふるふる、震わせながら。 あなたの手を、横からトモキが激しく叩き落とした。

「何やってる、○○!? しっかりしろ!」

 ハッとあなたは我に返って、トモキの顔を見つめた。

「え……? オレは、何を……?」

「連中の甘い言葉なんかに、たぶらかされてどうするんだよ、 お前が? ヘタしたら、撃たれてたぞ、怖いそこの女に」

 トモキがあごで指し示した先に、あなたに向けて、 平然と銃を構えた蒼がいた。

「わッ!」

 と、とっさにあなたは両手を上げた。

 蒼はちょっと首を傾げるような仕草をして、

「そういう展開なのか……。それならそれで、いいわ」

 と、あらためて銃口を虫女に向けた。

「フン、バカめ。ならば、自分の影に驚き、 自分の足音におびえながら生きて行くがいい、人間どもよ!」

 ガッと虫女が口を開いた。 無数のゴキブリが黒い流れとなって飛び出し、三人に襲いかかった。

「くッ!」

 誰もがたまらずに、目を閉じ、歯をくいしばり、 両腕で顔をかばった。

 ばちばちばちばち……!

 羽ばたく黒い虫たちが、顔や体にぶち当たり、 飛び過ぎて行く。狂ったような羽音が耳を圧していた。 身を屈めるようにして、必死に黒い奔流に耐える。

 やがて、ふいにその流れが途切れた。 あなたはそれでも少し間をおいてから、 警戒しながら細く目を開けた。 もうゴキブリが襲って来ることはなさそうだとわかると、 あなたは顔を上げ、ゆっくりと腕をおろした。

 虫女は消えていた。

 蒼は辺りを見回してから、銃をしまった。

「一階にもどって、他のとこを調べてみないと。 きっとヤツらはまだ、ここにいる」

 そう言うと、蒼はエスカレーターの方へ歩き出した。

 後に続こうとしたあなたの耳元に、トモキが顔を近づけてきた。

「おい、○○。おまえ、 あの子と昨夜はじめて会ったって言ったな。 なんかヘンだぞ、あの子」

「ヘンて言うと……?」

「妙に化け物や、 今回の事件て言うか騒動について詳しいみたいだし……、 なんだか裏がありそうだぞ。おまえ、油断するなよ」

 しばし無言でトモキの顔を見つめてから、 あなたは蒼の後姿に目をやった。 蒼はあなたたちがついてきているかどうかなど気にする様子もなく、 すでに下りのエスカレーターに乗ろうとしていた。

「ああ、わかった」

 あわてて、そう小声で答えると、 あなたは小走りで蒼の後を追った。

「ほんとに、わかってりゃいいんだけどな……」

 背後から、トモキのつぶやきが聞こえてきた。

 三人は、たてに並んでゆっくり降りて行く。
 と、カチン! カチン! と、 どこからか金属的な冷たい響きが聞こえてきた。
 ハッとなって、耳を澄ます三人。
 一階、エスカレーターの終わる先に、 ふらりと男の子が姿を現した。 男の子は足を止めるとこちらに向きなおったが、 顔はうつむかせたままだ。右手は背後に回されている。

「蒼、あの子……?」

「しッ」

 エスカレーターが下りるにつれて、どんどん男の子は近づいて来る。
 カチン! カチン!
 背後から、同じ音が二重奏のように響いて、 ぎょっとなって振り向くと、二階の乗り口のところに、 またひとり男の子が立っていた。
 同じようにうつむいて、右手を後ろに隠して。

「これは……!」

 トモキの声は、思わずかすれていた。

「ねえ、指きりげんまんしようよ」

 と、ふたりの男の子は同時にささやき、 さっと右手を前に差し出した。
 大きな裁ちばさみが、鈍い銀色の輝きを放っていた。
 カチン! カチン!
 蒼は銃を取り出し、構えた。

「そこをどいて! さがって!」

「ねえ、指斬り、げんまんしようよ」

 二階にいた方が、エスカレーターに足を乗せた。
 カチン! カチン!
 あなたは素早く上下に視線を投げた。
 ふたりの男の子の、 差し出した右手で裁ちばさみが機械的に開閉を繰り返す。
 カチン! カチン!
 狙いをつけた蒼の銃が、小刻みに震えていた。

「蒼……?」

チルドレンが現れた!





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