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開かずの部屋







〜戦闘省略・勝利〜




 がっくりと、トモキだった生き物は床に膝をついた。

「トモキ!?」

「来るな!」

 思わず駆け寄ろうとしたあなたは、その場で足をとめた。
 生き物は顔を上げると、ヘルマーチンを見つめた。

「オレがここで死んでも、 アンカーはすぐまた別のヘルメイツを見つけるんだな?」

「そうだ」

「オレが……、このまま異界に行けば、 異界とのつながりは消えて、世界は元に戻るんだな?」

 ヘルマーチンは、無言でうなずいた。

「わかった……」

 空気が流れた。トモキであったものの方に、吸い込まれるように。
 その生き物の背後に、黒い渦が生じて、次第に大きくなって行く。 その渦に、空気は吸い込まれていた。

「トモキ!?」

 そいつはあなたに顔を向けると、奇妙に顔を歪めた。

 それは、そいつなりの、精一杯の笑顔だった。
 それから……、背中から穴に落ちて行くように、 一気に黒い渦に吸い込まれて、消えた。

「トモキ!!」

 激しい衝撃音と閃光を残して、渦は消滅した。
 あなたは両手を握りしめて、彼が消え去った跡をじっと見つめた。



「どうして……、どうして、トモキが……!?」

 少し間を置いてから、蒼が答えた。

「どうして彼がヘルメイツになったのかは、 わたしにはわからない……。人のこころが抱えているものは、 本当はきっと、だれにもわからない。自分自身にだって……」

「いつから疑ってた、トモキを?」

 ヘルマーチンが答えた。

「今回は、蒼と俺は別々に動いていたと言ったろう。 蒼は朱鳥を追い、俺はヘルメイツを追いかけていた。 そいつが何なのか……、誰なのか、 突き止めなきゃならなかったからな。 あいつの言動は、妙だった。最初に蒼がヘルメイツの説明をした際、 無理やりそれがモノであるという風に誘導しようとしたり、 また、お前には合宿から帰ってきたら街はこうなっていたと話したが、クラスメートはあいつが風邪で合宿を休んでいたと言っていた。 合宿をさぼり、何をしていたのかは知らないが、 その時アンカーに食いつかれたんだろう」

「くっ……」

 顔をそむけて、あなたはうつむく。

「なるほど。ヘルメイツは、彼だったのか」

 と、どこからか再び声が降ってくる。

「朱鳥!」

「残念だったな、アンカーは失われたぞ」

「いいや、残念なのは、そっちの方だよ。惜しかったな、 時間切れだ」

「なに!?」

 ドン!
 と、地の底から響くような音がして、 床から突き上げられるような衝撃を受ける。
 校舎全体がビリビリ震えた。

「次元の境界は間もなく消滅する。 異界が出現するぞ。お前の友達は、 いずれ無駄死にだったな。おめでたいヤツらだよ」

「なんだと! 朱鳥、きさま、どこに!?」

 楽しげに声は答えた。

「急いで屋上に来なよ。一緒に、世界の終わりを見物しよう」

「きさま!!」

 あなたは部室を飛び出し、廊下を走った。

「○○!」

─See you Next phase─


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