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人気者

【備考】
メリルイベント
食堂にて

○○が食堂に入ると、そこはいつもとは様子が少々違っていた。
いつもならどの席にも満遍なく生徒達が座っているはずなのだが、 今日は何故か部屋の隅に人だかりが出来ている。
その一番外側にはウィルバーの姿も見える。
○○はウィルバーに何事かと尋ねてみる。

「ああ、○○か。聞いてくれよ!」

ウィルバーの表情からすると、何やら切実な問題のようだ。

「メリルと一緒に昇級試験受けたろ? それが何故か皆に知れ渡っててさ」

「あたしが言いふらしたんだけどね」
ん? 今、誰かの声が聞こえたような……

「それでじゃあ俺もってメリルを誘う連中が後を絶たないんだよ。おかげで俺が声をかけにくいったら……」

「狙い通りって所だね」

振り向くと、いつの間にか後ろの席にミーアが座っていた。どうやらこの騒動はミーアの仕業のようだ。

「!! お前の仕業か! 余計なことするなよ!」

「いや、なんか面白いことになりそうだったし。それにホラ」

メリルがいるであろう方向を指差すミーア。
人だかりで本人はよく見えない。

「前に比べて随分打ち解けたようだぞ。以前は声をかけられてもまるっきりスルーだったのに、 今は一応返事してるからな」

よく見てみると確かにちゃんと会話が成り立っているようだ。だから人が減らないのだろう。

「……ちょっと予想外のオモシロ展開になってるけどな。ププ」

○○が近づいていくと、メリルも○○に気がついて声をかけてきた。

「○○か。どうした? お前も何か持って来たのか?」

なんの事だろうか。

「ここの連中がな、頼めばなんでも持ってきてくれると言うのだ。何故かは知らないが」

メリルの前の机に目をやると、机の上には武器だの食べ物だの様々な品々が山と積まれている。

「それで、持ってきた物を評価してやったら、それが嬉しかったらしくてな。 何故かは分からないが。それで、全部に点数を付けてるんだが……」

「メリルさん! これ貰ってください!」

見知らぬ生徒が差し出したのはネズミの尻尾だった。

「肉なら食用に出来るが、尻尾なら実用性皆無だな。0点」

どっと笑いが巻き起こる。
どうも当初の目的が既に見失われているような気がする。

「そうだな、○○にはアイアンクロウを調達してきて貰おうか。そろそろ新しいのが欲しいから」

他の生徒達と打ち解けたのは良いのだが、何か間違った方向へ進んでいる気がする。
○○は生返事をして、その場はお茶を濁した。

「お、俺には?」

○○に便乗して人だかりを突破したウィルバーが乗り出してきた。

「そうだな、丸虫の……」
「丸虫の肉だな! よし! 任せておけ!」

たかが丸虫の肉で張り切りすぎだろう……
それにしてもアイアンクロウはともかく、丸虫の肉を一体何に使うのか。 ○○はあれこれ嫌な想像をしながら食堂を後にした。



─End of Scene─

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