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荒涼の船尾
打ち合う力

打ち合う力

打ち合う力

迷い人二人

     ***

「あんだけ言ったのにまったく全然手加減してくれない〇〇はちょっと反省すべきだろこれー!!」

「…………」

 闘技場のど真ん中。 大の字にぶっ倒れて叫ぶエンダーの隣には、 多少乱れた髪がそのままなアリィがぼんやりと立ち尽くしている。
エンダー相手ならば攻撃は普通に通るのだが、 何故かアリィに向けて攻撃するとまともな手応えが殆ど返ってこず、 おかげで全身ズタボロになっているエンダーに対し、アリィの方は殆ど傷一つなかった。
 だが、こちらの攻撃で傷は与えられなくても、 何らかのダメージのようなものはアリィの身体に蓄積していたらしい。 これで最後と、渾身の力を込めた一撃をアリィに打ち込んだ際。 彼女の膝がかくんと崩れて、 そのまま彼女が武器として使っていた木枝が消え去ったのだ。
 あれだけ力を入れて放ったというのに、 膝を付かせるのが精々なのかと愕然とした〇〇であったが、 鬼腕はそれを見て、勝負ありと試合を止めた。この試合、 〇〇の勝ちであると。

「“迷い人”となり、大半の力を失ったとはいえ、 この娘は一応は神に近い存在であるからな。その存在強度は並ではない。が、 その強さ故に、挿入した世界からの“反発”も大きい。 傷として与えられなかったお前の攻撃の結果は、アリィの身体の内部に “疲れ”という形で蓄積されていたということだ」

 鬼腕は大きく裂けた口元を軽く釣り上げて〇〇に笑ってみせ、 そして視線を未だ倒れたままなエンダーへと向けた。

「では、エンダーよ、喜べ。お前の敗北を記念して、 今日は特別に『コロセウム』の物語の中では珍しい、 基礎訓練について記述した部分をみっちりとなぞる事とする」

「マジか!! ってアリィは!? 俺だけ!?」

「神人が身体の筋力等を鍛える訓練をしても意味は無いから……そうだな、 お前がそれら一連の訓練をこなす間、 自分と軽く組み手をして時間を潰してもらおう」

「あい」

「なにそれ楽そうありえねー!! ……つーか、あーあー、そうだそうだ!  どうせならほら、俺と一緒に〇〇も訓練やるってのどうよ!?」

「……ふむ?」

 こっちに話を振るなと。鬼腕もそれは妙案とばかりにこちらを向くなと。
 このままでは巻き添えを喰らいかねない。 触らぬ神に祟り無しと、〇〇はそそくさと『コロセウム』から脱出する事にした。

「〇〇ー!! 覚えてろマジでー!!」

 単書から立ち去る間際。そんな叫びが聞こえた気がするが、 きっと気のせいだろう。

─End of Scene─



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