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エアゾール製造工場11

【備考】
動力炉破壊後
選択肢無し

 背後から押し寄せる爆風に追われながら、僕たちは全力で走り続けた。
 暗く細い階段を駆け上がり、ハッチから転がり出る僕たち。

 直後に、ハッチから激しい炎柱が吹き上がる。

 僕は顔に火の熱を感じながら、その火柱を呆然《ぼうぜん》と眺めた。
 一歩間違えれば、この炎に包まれていたのかもしれない。
 そう思うと、ぞっとした。

 スズは、その火柱を、瞳を輝かせて眺めていた。

 これでもう、みんながあの怪しいにおいを吸うこともない。
 労働者たちが気力を取り戻せば、一致団結して反乱を起こすことも夢じゃない。
 8千人の労働者が反旗を翻せば、資本家から自由を取り返すことも可能だ。
 こんな明るい未来を、スズは思い描いていたんだろう。

 スズは僕に向かって、にっこりと微笑んだ。
 一方僕は、スズの笑顔の美しさにときめいていて、微笑みかえす。

 その時、上空から激しい爆撃が押し寄せる。

「空襲!?」

 僕たちは慌てて、そばにある瓦礫に滑り込む。

 監獄島で受けた空襲とは比較にならない量の銃弾が撃ち込まれた。
 工場しかない監獄島・お台場とちがって、本土に対する攻撃は、激しいのか?

 容赦なく降り注ぐ爆撃によって、瓦礫がガラガラと崩れていく。
 運よく爆撃は僕たちのそばをうまくそれていた。

 集中豪雨のような銃弾におびえながらも、瓦礫の隙間から、 うらめしい爆撃機をにらみつけた。
 その時、僕は衝撃を受けた。

 爆撃機は敵国軍ではなく、日本軍の所属だった。
 僕たちのテロ行為を止めるために、日本軍が出撃していたのだ。

 旋回する爆撃機が、再び僕らめがけて飛来する。
 僕たちが身を隠していた瓦礫が、孤島のように残っている。
 爆撃機の狙いはここだ。
 もう逃げ場がない。終わりだ!

 命の覚悟をした瞬間、僕たちはまばゆい光に包まれた。
 あまりのまぶしさに耐えきれず、目をつぶりそうになる。
 でも、その時、信じられない出来事が起きた。

 僕たちを包む光の壁が、一切の爆撃を跳ね返したのだ。

 間違いない。これは魔法の力だ。
 僕たちは“魔法”によって救われた。

 慈悲深い命の恩人は、すぐに見つけることができた。
 それは、目つきが鋭く、張りつめた雰囲気の無宿者だった。

無宿者

 本物の仙人登場?
 いかにもすべての真理を知り尽くしているといった感じだった。
 この人もまた、僕たちと同じように、この世界に連れてこられたんだろう。

 仙人のような無宿者は、厳しい表情のまま、僕たちのもとへ歩み寄ってきた。
 意外なことに、その足取りは工場の仲間たちよりもっとしっかりとしていた。

 無宿者は、資本家に監視されることもなければ、過酷な労働を強いられることもない。

 その分、僕たちよりもずっと心身健やかなのかもしれない。

 僕とスズは笑顔で礼をいうと、彼は厳しい口調でこういった。

「命が惜しいなら、これ以上、反抗するのはやめておけ」

 あっけにとられる僕たち。
 なぜ、国家権力とも、資本家とも無関係なこの無宿者に、 反乱を止められなければならないのか?

 そんなことをして、この人になんの得がある?

−End of Scene−


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