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奇妙な積荷 |
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【備考】 旅券を買う選択 〇〇は5000zelを支払った! ☆〇〇はマノットの偽造旅券を手に入れた! *** 「毎度あり! いやーあんた良い買い物したぜ」 〇〇から代金を受け取ると、マノットは破顔して2枚の旅券を手渡してくれた。 ハリエットはそれを見ながら、本気とも冗談ともつかない調子で囃し立てる。 「あーあ。買っちゃった。あーあ」 「いや全然『あーあ』じゃねーから。ほれ、 そこに自分の名前を書き込めば完成だ。これ貸してやろう。インクはこれを使う」 言って、マノットは羽根ペンとインクを取り出した。 受け取った〇〇は樹の幹を机代わりに、己が名前を旅券に書き入れる。 (〇〇――っと) ハリエットとマノットは周りからその様子をまじまじと観察していた。 二人に見られながら名前を書くのは、なんだか落ち着かない気分だ。 受け取った二枚の旅券に名前を記し終え、ペンをマノットに返却する。 「へー、あんた〇〇って言うんだ。 そういや何度か会ってるけど名前は聞いてなかったね。ちなみに私はハリエットだよ」 「良い名前だねぇ、〇〇。どこの出身だい?」 さりげなくマノットが答えづらい質問をした。 「そんなんどこだって良いでしょ。ねね、それよりちょっとその旅券見せてよ」 ハリエットがぐっと近寄ってくる。 彼女の目が輝いていることに、〇〇は何となく一抹の不安を覚えた。 「取ったりしないって! それなら名前書く前に強奪するし」 疑うような眼差しの〇〇に、ハリエットは笑ってみせる。 確かに、これを奪うなら名前を書いてからでは損だ。しかも、 仮に盗られたとしてもこちらには2枚目がある。 〇〇は特に困ることはないと判断し、ハリエットに旅券を見せてやることにした。 「どうもどうも。へー、これが高級な白旅券ねー。ふーん」 ハリエットは〇〇から受け取った旅券をこつこつ叩いたり裏返したりして調べていたが、 やがてそれを両手で高く掲げ持つと――。 「うりゃー!!」 声と共に、ハリエットは旅券を自分の膝に打ち付けて叩き割った。 乾いた音を立て、〇〇の買った旅券は目の前で綺麗に真っ二つになる。 「うおい! 何しやがんだ!」 マノットが色めき立ったが、ハリエットは落ち着いた調子で続けた。 「やっぱりね。これ、すっごい安物じゃん」 言って、ハリエットは割れた旅券をぽいとマノットに放り投げる。 「何を!?」 「あんたは売ってるぐらいだから知ってるでしょ。本物の旅券ってのはさ、 材質はその辺の木だけど、 教会の偉い人が1つ1つにありがたい印を刻みこんでるんだよね。 その御加護で防水、防カビ、その他もろもろの耐性が強化されてるってわけ」 (そうなのか……) 〇〇は手元に残った方の旅券を見る。 旅券の表面には角度によって色を変える虹色の模様が入っているが、 これがその印――ということか。 「安物のニセ旅券だと、見た目はそっくりでもその辺の違いが大きいんだよね。 一番単純な判定方法は、さっきみたいにぶち割ることよ。あっさり割れたら、 それは贋物!」 言って、ハリエットは得意げに笑った。 マノットは腕組みをして感心の声を上げる。 「……変なこと良く知ってるなぁ。本物は割れねーのか」 「普通に割れるよ。でも手ごたえが全然違うから判る!」 「割れるんじゃねーか! ひでーことしやがる」 「良いじゃん良いじゃん。丁度ふたつあったんだしさー」 ハリエットは悪びれた様子もなく、あっけらかんと笑って見せた。 それもそうだな、とマノットはあっさり追従する。 「良く考えたら俺は別に何も損してねーし。どうでもいいか」 「そういうわけでさ、その旅券ゴミだから捨てた方が良いよ」 未練がましくもう一枚の旅券を手にする〇〇に向けて、ハリエットはそう言った。 「そんな安物じゃ、 素人は誤魔化せても毎日旅券を触ってる人間には絶対通用しないもんね。 捕まる前に判って良かったじゃん!」 「うむ。単価150zelで仕入れた品だからな、そんなもんだろう。 それは捨てとけ。カネは返さねーが。……それよりお前、ハリエットって言ったか。 俺と組んで一儲けしないか?」 マノットは馴れ馴れしい調子でぽんぽんと少女の肩を叩いた。 ハリエットはぴしゃりとその手を払いのける。 「触んな! あんたなんかと組んだら速攻で捕まるっての!」 「まぁまぁ。実は良い儲け話があるんだが――」 尚もマノットが話を続けようとした時だった。 「あーっ!!」 唐突にハリエットが大声を上げて街道を指差した。 「うおい、何だよ。びっくりするだろ」 言いながらマノットは、ハリエットの示した先を振り返る。 「……馬車か?」 見ると、一台の幌馬車が街道をこちらに向かって来るところだった。 馬車は四輪四頭立ての大きなもので、 座席には御者らしき若者と白髪の男が並んで座っている。 「来た来た!」 ハリエットはウキウキした様子で言って、外していた右のガントレットを着ける。 そうこうする内に馬車は〇〇達の脇を通り過ぎ、 街道を検問所の方へと走り去って行った。 その幌に何かが絡まりあって円を成す紋様が小さく描かれていたのを、 〇〇は見逃さなかった。 「ニョロニョロがぐるぐる……よし」 検問所に向かう馬車の背を見つめながら、ハリエットが呟いた。 「なんだそりゃ、家紋の話か? まあ確かにそんな感じだったな。 良くあるタイプだが」 「だよねー。多分あれで間違いないと思うんだけど……」 「多分って何だ?」 「色々と事情がありまして。ニョロニョロがぐるぐるした家紋で、 死の臭いのする荷物を積んだ馬車を探してんの」 「……面白そうじゃねーか。詳しく教えろよ」 「やだ」 にべもなく言って、ハリエットは置いていた荷物を纏め上げる。 「とりあえず、もうちょっと近付いて荷物検査を見物してれば、 変なもの積んでるかどうかは確認できるよね」 言って駆け出そうとするハリエットに、無理だと思うぞ――とマノットが告げる。 「なんでよ?」 ハリエットはきょとんとした様子で振り返った。 「貴族の馬車だから。まあ、すぐに解るだろう」 *** |
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