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奇縁、鋼の遭遇IV |
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忌なる者達が現れた! (戦闘略) *** 重量と速度を活かした突撃と、輝きを纏うの巨大な槍──メインラムでの薙ぎ払い。 クロエ操る戯馬は、二つの技で群がる凶暴な獣達をあっさり追い払うと、改めて疾走を再開する。 〇〇が伝えるサニファの助言を参考にしつつ、セサルが道を選定し、クロエがそれに従って戯馬を走らせる。 「〇〇様。そろそろ次の空白エリアに入るッスよ」 サニファがまたそう告げてきたのは、一時間ほど過ぎた後だ。先程と同様にクロエが機体の速度を落とし、セサルが入念にルートの選定を行いつつ進んでいく。 暫くすると、9時の方向に大きな河が姿を現した。上流で大雨でも降ったのか流れは酷く荒れて、濁った川水の中を無数の木が凄まじい速度で押し流されているのが見えた。 「うー、段々木の密度が高くなってきたかもー」 と、隣から呻きのような声。 「……ねぇセサル、もうちょっと速度落としたいんだけど、ダメ?」 目で追うのも難しい程の速度で座席右側から伸びた長レバーを操作しながら、クロエがそんな泣き言を後部座席へと投げ掛けるが。 「自信が無いなら別に僕は構わないけど。この程度の障害物を容易く抜けられないんじゃ、『ジルガジルガ』の“領主《ロード》”になるなんて無理なんじゃないかな、と軽く幻滅するくらいで」 その返答に、クロエは渋面で考え込み、 「むー。判った、やっぱいい。ていうか、言い方意地悪いよ」 むっすーと拗ねた顔で文句を言う彼女に、後部座席からは「性分でね」という声と、肩を竦める気配が返る。 「とはいえ、そろそろまずいっていうのは僕も思ってたところなんだけど。一応、こちらと、そしてこちら側、2つのルートは比較的樹木の分布が薄い。そちらの地形図に経路線を付け足す」 〇〇の視界の中、クロエ正面の硝子板に映っていた地形図に、線が新たに二本浮かび上がるのが見えた。 「ん、来た。ホントだ、少なめ。これなら行けそうかも! ──って、二つあるけど、どっち行けばいいの?」 「どちらがいいかは何ともいえない。あくまでこの機体が感知できる範囲内ではほぼ同じで、感知外の領域に対する予測結果にも大して差はないんだ。だから、ルートの分岐点に到達したところで、君が入りやすいと思ったルートをその場でチョイスして構わない」 言われて、クロエは自分の顎に手をやって、考え込むように首を捻り、 「ん、んー……って、うわっ!?」 ──眼前に迫っていた障害物に気づいて、慌てて操舵柄に飛びついた。 急激に視界が傾き、障害物をギリギリで避ける。この場にいる全員から深い溜息が零れた。 「ダ、ダメだ、考えながら走ってたら危ないし! ええっと」 クロエは何かを探すようにきょろきょろと視線を左右に振り、隣に居た〇〇を見て、おお、と眼を見開いた。 「〇〇さん!! あなた、何でもいいから決めちゃってください! 分かれ道もう目の前だから、急いで!」 いきなり話を振られても困るのだが、どうやら文句を言っている状況でもないようだ。 〇〇は慌てて彼女に身を寄せて、操舵用らしい横柄中央に設置されている硝子板と時刻機を交互に確認。 映像には、1時方向と3時方向の二つのルートが示されており、9時方向には巨大な河を表す線と、その向こう岸の様子が微かに写されている。 二つのルート、選ぶとすれば──。 ─See you Next phase─ まだ決めていない 風まかせ 1時の方向 3時の方向 9時の方向 |
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