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奇縁、鋼の遭遇II[1]


迫り来る鋼が現れた!
[敵出現]




(戦闘略)

     ***

 木々を蹴散らしながら飛び込んでくる鋼鉄の塊。〇〇は寸での所でそれを避けるが、飛び散った土塊や木片が派手に身体を打つ。
 身体の痛みに顔を顰《しか》めつつ立ち上がる間に、地面を削りながら通り過ぎていった鋼の塊は漸く動きを止めていた。
 警戒しつつ、〇〇はその巨体に歩み寄る。

(……なんだ、これ)

 短い四足を持つ、鋼鉄で出来た平面の昆虫──のようではあるが、それもかなり強引な表現だ。足の先端部には輪のようなものがそれぞれ取り付けられて地面に接し、後部には用途不明の穴のようなものが数個。各所には独特な紋様が描かれた結晶が嵌め込まれており、淡く明滅を繰り返している。
 大きさはかなりのもので、幾ら樹の間隔が広いとはいえ、この林を一体どうやって移動してきたのか疑問に思う程だ。
 そしてその謎の物体は、四肢らしきものを震わせながらゆっくりと姿勢を立て直そうとしている。

 ──何が何だか判らないが、動きを止めている今の内に破壊してしまうべきか。

 武器に手をやりながら、〇〇が物騒な事を考えていたその時。
 鋼鉄の巨体の上部が、ばくんと何の前触れもなく音を立てて跳ね上がった。

「!?」

 突然の動きに、反射的に身構えた〇〇は、

「痛たた……。ううー、人居るとか聞いてないーっ」

 そんな声と共にひょこりと飛び出た長い金髪に目を奪われる。
 中から現れたのは、何処ぞの街娘のようなありふれた衣服を纏った女だった。

「……えっと」

 鋼鉄の塊から上半身だけをひょいと出したその人物は、きょろきょろと頭を振って髪を揺らすと、見上げる〇〇の姿を認めて、表情に少しの安堵が混じる。碧色の眼が真っ直ぐにこちらを捉えた。



「すみませんごめんなさい、大丈夫ですかっ? ギリギリ、当たってないとは思うんですけどっ!」

 そう一気に叫んで、じっとこちらを凝視してくる。その様子に面食らいながらも、〇〇は返す言葉を探す。
 飛び散ったあれこれがびしばしと当たりはしたが、一応轢かれてはいないのは確かだ。
 取り敢えず目立った怪我はない事を伝えると、詰めていたらしい息を深く吐き出す。肩が下がり勢いが小さくなると、彼女がまだ多分にあどけなさが残る、少女と呼んでも差し支え無い年頃であるのが判った。





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