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管理室 |
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重く冷たい扉を開けると、そこには上級職にしてはやけに重厚な体つきをした男が立っていた。 男は、正面の椅子にどっかりと腰を掛け、自分はこの工場の監督者だと名乗った。 「お前が4649番か。魔法が使えると聞いている。」 監督者は僕を一瞥すると、こう続けた。 「最初に言っておくが、特殊な能力を持っているからといって、 この状況が好転するかもしれない、などといったつまらん希望はさっさと捨てるんだな。」 どうやら、魔法の力を持った者は皆、同じような考えを持つらしい。 ちらりと見上げると、監督者は更に威圧的に僕を睨みつける。 「下らん考えを捨てるためには、自分の立ち位置――まずは、 この工場内につい手を正しく理解することだ。少々その手助けをしてやろう。」 どうやら、この工場についての情報を教えてくれるらしい。 「お前が行き来できる場所について順に説明しよう。」 僕がどう返事をしようか迷っている途中で、監督者は話し始めた。 「ここ管理室では、お前達労働者を正しく管理し、向上を効率的に運営するための場所だ。 下らん考えを持つ者の更生、教育、処罰。24時間いつでも受け付けている。」 何か事を起こせば、昼夜を問わずいつでもとっ捕まって処罰される、ということらしい。 できればあまりお世話になりたくない場所だ。 「製作作業場では、一日問題を起こさずに無事業務を終えれば、 その日の食糧と賃金をくれてやる。ただし、 問題があるヤツや働かないヤツには懲罰もあることを覚えておけ。」 こりゃあ…… ちょっとした事に難癖をつけられ、懲罰という名のリンチを受ける展開があるみたいだな。 「食堂は、工場内の労働者が集まる場所だ。当然、私語は一切厳禁だが、 我々の目を盗んで情報交換をする輩がいるらしい。早々に取締って教育せねばならん。」 なるほど、管理者に見つかると厄介だが――それさえクリアできれば、 さまざまな情報を得ることができそうだ。 「最後に、参考までに中庭の話をしておく。ここは生物兵器を管理している場所で、 立ち入り禁止区域だ。そもそも、お前達が立ち入る必要などない場所だが、 ごくまれに迷い込んでしまう者がいる。中庭のモンスターたちの格好の餌食となるだろうから、 迷い込んだ際は覚悟しておけ。」 ここにはいつもモンスターがいるようだ。もしかしたら、 自分の能力アップのために通うにはちょうどいい場所かもしれない。 「それと、お前のように魔法が扱える者は、まずは『動作チェック場』に通い、 チェック作業に貢献するべきだろう。生物兵器とのバトルに勝利すれば、 いくばくかの報酬を得ることも可能だ。もちろん、 わが工場の生物兵器は強力だ。油断すれば、命はないものと思え。 もっとも、まだろくに働いてもいない道具を、そう簡単に壊しはしないがな。」 僕が移動できる場所に、新たに『動作チェック場』が加わったようだ。 「説明は以上だ。理解したら、早急に立ち去り作業に戻れ。」 監督者はそう言い放つと、後ずさった僕の目の前で、重く冷たい扉を勢いよく閉めた。 やれやれ、言いたいことだけ言いやがって。 監督者なんて、どんな世界でも似たり寄ったりだな。 さて、まずはどこへ行ってみよう? ーEnd of Sceneー |
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