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乞求偶像



 めめがねは特別斡旋計画「乞求偶像」を選択した。
 めめがねとガストンとの関係値が1消費された。
     ***

 宿木の職員や探求者達から話を聞き、めめがねはガストンが居るというパーチの裏手へと回る。
 パーチの裏手には、竈や暖炉等で使う薪を拵えるための小さな広場がある。普段ならば薪の原料となる木材は広場の隅に丁寧に山積みにされているのだが、めめがねが広場にやってきた時には何故か広場中に散らばっており、そしてその荒れた現場の真ん中に、浅黒い肌の半裸の男――ガストンはむっつりとした顔で座っていた。

 ガストンの傍へと近づく前に、めめがねは近く転がっていた木材の一つを手に取った。
 それはがりがりと身を刃物で削られていて――要するに彫像の素材として使われたらしいのだが、しかし残念ながら何を象ったものかまでは判らなかった。めめがねの目には、幾何学的模様が刻まれた謎の物体にしか見えなかった

「…………」

 手にしたそれを放り投げて、めめがねは近くに転がっていた木材を次々に拾い上げていく。
 一つ目。
 ぐちゃりとつぶれた蛙のようなもの。両手が異様に巨大なのが非常に不気味だ。

 二つ目。
 今度は木材の先端にとげとげとした謎の球体が鎮座していた。一瞬武器か何かと見間違う代物だが、よくよく見ると前部中央から生えた棘に顔らしきものが刻まれていて、どうやら武器ではないらしい事はかろうじて判る。判るが、しかし何を造りたかったのかまではさっぱりだ。

 三つ目。
 丸太の中央部が異常に削られ、両端部だけがアーチ状になっている物体。これはもう何か像であるのかも判断できないレベルの代物で、コメントすら難しい。どういう意図で出来たものなのか全くもって理解不能だった。

「来たか。めめがね」

 と、そこでこちらの存在に気づいたのか、ガストンが声を掛けてきた。
 めめがねは木材の観察を切り上げて、ガストンの傍へと歩み寄りながら尋ねる。
 一体何やってんの、と。

「そろそろイルバ、ウクグルの時期。サナル、呼ぶ。迎え入れる。ギギ、アルカルナが必要、造る、今」

「…………」

 何をいっているのだか全く判らないが、深く尋ねると更に意味不明な会話が展開されそうで、迂闊に口を挟めない。
 そのまま暫く片言の説明が続き、最後にガストンはめめがねの目をまっすぐに見て、

「判るか?」

 判りません、と正直に答えると、ガストンは片眉を寄せて沈黙し、

「偶霊、呼ぶ、儀式。使う物、造る」

 大分判りやすくなった。めめがねはふむふむと頷く。
 要するに、彼が信奉する“何か”の為の儀式用の道具を作成中、という事なのだろう。具体的にどういう用途の道具なのかまでは判らないが。

「憑代。ウクグル、入る、器。けれど、失敗」

 失敗? と、めめがねは持っていた謎の物体を見下ろす。

「失敗。サナル、鳥。憑代も、鳥。それ、鳥じゃない。失敗」

(……鳥、だと……)

 めめがねは愕然と辺りに転がる木材を見回す。
 まさかこれらは、鳥の彫像を造ろうとした結果の失敗作だというのか。
 先刻拾い上げた三つにしても、生物に見えるものすら最初のものだけで、今手の中にある最後の一つはもう単なる廃材としか見えないような代物だった。
 いくら失敗作だとはいえ、もう少し鳥らしい形をしていても良さそうなものだが。
「これは、理由ある」

 と、そんなめめがねの内心を鋭く察したのか、ガストンは少し慌てたように言い訳を始めた。

「ここにある、木、悪い。ガストン、ウォルナット彫る、上手い。でも、無い、ここ。だから、めめがね。ガストン、ウォルナット、ほしい」

 そういう事か、とめめがねは納得の頷きを一つ。
 事の真偽はさておいて、腕が悪い訳では無く材料が悪い。ウォルナットがあれば行ける、というのがガストンの主張のようだ。
 しかし、

(……木材の種類でどうにかなるレベルか、これ)

 辺りに転がる木材の惨憺《さんたん》たる様子を見るに、例え材料がウォルナットになったとして、ガストンが鳥らしい像を彫れるようになれるとは、めめがねには到底思えなかった。
 もしウォルナット材をガストンに手渡したとしても、その時は感謝されるだろうが、最終的なガストンの望み――鳥の彫像の完成が叶えられる可能性は薄いだろう。

 なら――出過ぎた真似かも知れないが、材料であるウォルナット材をガストンに渡すより、こちらで完成品となる鳥の彫像を用意してやった方が良いのかも知れない。

─See you Next phase─








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