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禁領:サザラナ平野 |
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○○は探索計画「越境、慧国〜久国」を選択した。 ○○は宿木に対し50zelを契約料として支払った。 *** 今回受けた探索計画は、禁領サザラナ平野を抜けて隣国へと移動するものだ。 従来の探索計画とは多少趣が異なるもので、要は探求者のみが使える合法的な国家間移動行為である。 一般的に、アルレデドル大島にある七王国間を移動する際に使われるルートは二つある。 ひとつは海運。単純に、船を用いて海を渡る手法だ。 七王国の内聖堂院以外の六国は全て海に面しているため、この方法で移動することが出来る。 ただ大島周辺の海流は非常に不安定であり、所々に“難海”と呼ばれる侵入不可海域が存在する事もあって、悪条件が重なると非常に時間が掛かってしまう。 海の状況によっては隣の国に移動するのに一月掛かった挙句、着いた場所はそのもう一つ隣の別の国であった、という事が大げさではなく発生する。 勿論、何の問題も無く到着する事もあり、逆に予定日程を大幅に短縮してしまう時もあるのだが、この辺りの不安定さに加えて海難というリスクが存在するため、どうにも敬遠されがちだ。 もうひとつは聖堂院を経由するもの。聖堂院から流れる河を上り、水源となっている大島中央の巨大湖へとまず移動。そこから他国へ流れる河を下り、移動する手法だ。 海を利用する場合と比べて非常に短い時間での移動が可能だが、利用にはある程度の身分証明が必要な他、“断壁”を越える際に課せられる税等によって料金が多少割高となる。 そして今回、○○が選んだルートは三番目のルート。一般的ではない経路だ。 七王国は、基本として大規模禁領を国境線の代わりとしている。例として挙げると、慧国ならば西のサザラナ平野と北東のフリスコー高地。些国ならば北のアヤラタ山系に南のラドン大荒漠地がそれに当たる。 禁領は人の立ち入りを禁じる地。故に国境の印として利用するには丁度良かったのだ。 古来から、国の境は山や川等の“遮るもの”を目安に設けられる事が多い。 自然国境。 適性の無い者には越えるどころか侵入すら難しい禁領は、境の意味を持つ地形の最たるものといえるだろう。 以上のような理由で、一般人が国を渡る場合は、海や断壁を経由する──要は禁領を迂回する手法が一般的である。 だが、○○を含む探求者達は別だ。 探求者は禁領に対する適性を持つ者達。だから、国境を示す禁領に対しても容易く侵入可能で、そして逆側へと通り抜ける事も容易。つまり各国間を、関所などを通過せずに渡る事が可能なのだ。 そしてこれは、関税徴収を受けずに国境間移動が可能だという事も意味していた。 果たして国側が黙っているのか。○○がこの話をパーチで聞いた時には疑問に思ったものだが、宿木の者が言うには“何とかなっている”らしい。 続けてあれこれと説明をしてもらった記憶はあるのだが、こういった利権が絡む話は当然というべきかやはりというべきか色々と込み入っているらしく、新参の○○には細かい話は殆ど把握できなかった。 理解できたのは表面的な部分。宿木と七王国間で何らかの取引がなされた結果、探求者の国家間移動に対しては宿木に対し事前報告さえ行っていれば何の制限も無く行える、という事だけ。 ……まぁ、単なる一探求者として考えれば、それが判っただけでも十分ではあるが。 *** *** 中間層の終わり。目的地であるサザラナの平野が間近に迫った地点。 禁領の特徴となる独特の気配と共に、全てのものが淡く紫色に染まり始めた辺りで、○○はその影達と遭遇する。 姿形は野の獣と然して変わらず、しかし内から漏れ出す力の気配は並々ならない、異質な生物。禁領が持つ陰の因子に適応し、身体を変化させた獣、忌種である。 彼らは○○という獲物の存在に気づき、散開。○○を包囲しつつ、徐々に徐々にその距離を詰めてくる。 ○○は無言のまま荷物を下ろして身を軽くすると、己の武器の柄を握り締め、次の行動を思案する。 仕掛けて一点突破か、待ちに入って確実に反撃を入れていくか。いっそ範囲攻撃で一息に潰してしまうか。 どちらにせよ。 この程度の相手、容易く蹴散らす事が出来ないなら、禁領に足を踏み入れる資格など無いだろう。 戦闘終了後 *** サザラナの平野の東端へとやってきた。 西の方角には長く長く、人の足によって踏みしめられた道が伸びている。 この道を進んでいけば久国側へ。 逆に、道を離れて東へと進めば慧国側の中間層に出る事になる。 ─See you Next phase─ |
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