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ジェルメーヌ海 |
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ルイーズ港へを選択(初回) ルイーズは海沿いの丘陵地帯に開かれた町で、 南のジェルメーヌ海に面した一辺はそのまま大きな港となっている。 〇〇は散歩がてら、そんなルイーズの港を見物して回ることにした。 日中の港は活気に満ちていた。 桟橋には漁船や商船など幾多の船が舳先《へさき》を連ね、路上には商人や船乗り、 そして旅人達の往来が絶えることなく続いている。 雑踏から離れて南に目を転じれば、 細かな波の煌めく濃紺の海がどこまでも広がり、 澄んだ空との間に真っ直ぐな水平線を描いていた。 とりたててやることも無いが、 物珍しさもあって退屈さは感じない。 遠く海上に白波の線を引いて行き交う船や、 港に住み着いた海鳥達の姿を眺めているだけでも時間をつぶせそうだった。 「お前さん、蟹は好きかい?」 そうして無心に時間をつぶしていると、不意に声を掛けられた。 声の方を振り返ると、脇に係留された船の甲板から、 帽子をかぶった年配の男がこちらを見返していた。 「まあ、実は蟹はどっちでも良い。腕っぷしさえ強けりゃな。 それは自信あるんだろ?」 言って、男は力こぶを作るような仕草を見せ、 ヒゲ面に軽い笑みを浮かべる。 もちろん、〇〇は腕に覚えがないわけでもない。 だが、明らかに船乗り然としたこの男が、 自分のような陸の人間に一体なんの用があるのだろう。 漁師になれと言われたら困るな―― などと冷や冷やしていると、男は率先して先を話し始めた。 「お察しの通り、これはスカウトだ。 といっても別に漁師になれと言ってるわけじゃない。 俺の船にはお前さんみたいなのが必要なんだよ。 簡単に言うと、護衛だな」 なるほど、アルバイトのお誘いか――と得心する。 船の上で護衛が必要な状況が良く判らないが、 重要な点は他にもある。そう、報酬だ。 そんな〇〇の胸中を知ってか知らずか、 男は更に先を話し始める。 「俺達がやっているのは、蟹カゴ漁だ。 蟹漁は良いぞ。何が良いって、一言でいうならそう、 一攫千金だ。獲れないときはとことん獲れん! だが、 一度大当たりを引けばそんなのは消し飛ぶほどの大金が手に入る。当然ながら儲けが出た時は、その分護衛役にもボーナスが出るぜ。悪くない話だろ」 男はにやりと笑った。 確かに“一攫千金”という言葉には惹かれるものがある。 「マジな話、蟹漁ではたったの半日で一人頭4万zel以上を稼いだって奴もいる」 男は不敵にそう言い放ち、それから小声で 「……と、俺の爺さんが言っていた」 と付け加えた。 若干眉唾な話ではある。だが、 とりあえず試してみて損は無い……ような気はする。 どうやら彼の漁船はちょうど護衛待ちだったらしく、 もし〇〇が承諾するならすぐにでも出発できるらしい。 〇〇は腹をくくり、 一攫千金を目指して蟹漁へと繰り出すことにした。 *** 彼の漁船“青い鳥号”へと乗り込むと、 すでに甲板では船員達が慌しく動いていた。 「よし、ちょうど頃合だ、すぐに出航するぞ!」 ごぅん、と出航の合図のドラが鳴り、 船が静かに海を滑り出す。 目指すはジェルメーヌ海の南西、 高価で売れる蟹たちの楽園だ。 *** 沖の堤防を抜けたところで、途端に船の揺れが激しくなった。 だが、漁はまだ始まってもいない。 これから蟹の住処まで船を移動させ、餌を入れたカゴを海底に沈め、 中に入った蟹を回収する。 言葉にすると簡単だが実際の作業は熾烈を極め、 甲板の上はその時まさしく戦場となるのだ。 それまでは体力を温存しておくべきなのだが、 護衛役としては当分やることもなく暇である。 ふと、にゃあにゃあという声を聞いたように思って視線を上げると、船の上で何羽ものカモメや海猫が円を描いていた。 丁度良い。ちょいと暇つぶしに、あのへんの連中で腕慣らしでもしておくとするか。 旋回する白い影 海猫A [前衛] HP:60/60 海猫B [前衛] HP:60/60 海猫C [前衛] HP:60/60 戦闘省略 勝利 *** 〇〇は規定の護衛料、20zelを得た! 青い鳥号は更に海を進んでいく。 現地につけばいよいよ本番開始だ――とは言っても、 〇〇の目ではどこが“現地”なのかさっぱり判らない。 しかし、それでも船員達の雰囲気で漁の開始が近いことだけは理解できた。 流石にそろそろ仕事に備えておかねばなるまい。 ─End of Scene─ |
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