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東フレビス山脈にて |
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『崖を降りる』を選択
南向きの斜面に積もった雪は日光で溶かされ、冷気によって再び凍りつく。それを毎日何度も繰り返して出来上がった、巨大な氷の坂だ。 極めて危険なことは明白なので、焦らず、慎重に斜面を降りて行く……。 だが実際に歩いてみると、氷の上に薄く積もった雪がざらついていているせいか、意外に滑らない。 下り坂というのは実際以上に急に見えるものだし、案外これは楽に降りられるのではないか? そんな風に思っている時だった。 ずるり、と足元がずれるのを感じた。 おっと、もう少し傾斜がきつかったら危ないところだった――そう思った。 だが、踏みとどまったつもりの足が止まらない。体を置いてけぼりにして、足だけが勝手に前へと滑り出す。 そのままゆっくりと尻餅をつくように倒れこんだが、それでもまだ滑り行く動きは止まらない。 〇〇は他人事のように感じていた。これはひょっとして拙いのではないか、と。 そして、滑落が始まった。 ざらついた粉雪が大量に巻き上げられ、〇〇の後方に白い雪煙が上がる。 速度は見る間に増して行き、斜面を滑るというよりも落ちるという方が近くなった。 時折斜面を跳ねているのか、ふわりと奇妙な浮遊感があり、慣れないその感覚が余計に〇〇の不安を煽る。 ……倒れた状態でこれだけ加速した場合、どうやって停止すれば良いのだろう。 このまま岩にでも突っ込んだら大怪我をするのではないか? 様々な思いが脳裏をよぎる中、やがて白い壁のようなものが眼前に迫るのが見えた。 これは、ひょっとして地面だろうか? そう思った次の瞬間、 激しい衝撃が全身を襲い、トーク力†の意識は弾け飛んだ。 *** 〇〇は75ダメージを受けた! 〇〇は99ダメージを受けた! *** ……。 まだ、生きている。 おそるおそる、自分の身体の状態を確認する。 手は動く……。脚もなんとか無事のようだ。 身体のあちこちが酷く痛むが、とりあえず骨が折れて飛び出るなどの凄惨な怪我は負っていない。 上体を起こすと、ずきりと頭に痛みが走った。口の中に血の味が広がっていることに今更ながら気がつく。 まあこの程度で済んだのなら、衝撃を吸収してくれた積雪には感謝すべきところだろう。 しかし、安心するのはまだ少し早いようだ。 ようやく立ち上がった〇〇を遠巻きにする何かの気配――。 どうやら目の前には、また別の危機が迫っているらしかった。 きつねと兎達 戦闘省略 ☆○○は毛皮を手に入れた! *** 酷い目に遭ったと思いつつ、改めて周囲を見回す。 北には今しがた滑落してきた氷の斜面が白くそびえ立っている。 少し南に行くと踏みならされた山道が東西に伸びており、西側はゆるやかに曲がりながら南へと下っていた。 積雪はあったが、上の方と比べれば明らかに雪の量は少なく、麓が近いことを思わせる。 ならば、この道沿いに南へ進めばそろそろ山を抜けても良いのではないだろうか? そう思って遠く南に目を向けると、下り行く道の向こう、立ち並ぶ木々の彼方に白い町影らしきものが見えていることに気がついた。 長い間雪山を歩き通して、そろそろ疲労も限界に近い。ここは素直に一旦町を目指すことにしよう。 そう決めると、○○は遥か南に見える町影を目指して再び山道を歩き始めた――。 ─End of Scene─ |
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