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禁領:フリスコー高地

 〇〇は北西へ向かうことにした。
 〇〇はエリア10へと移動した。

     ***

 青い石を見つけた後、禁領の外へと向かう途中。
 既に一度通り抜け、 徘徊する忌種を粗方倒し終えた道を遡るだけの旅路は緊張感に欠ける。 〇〇は武器を手にしつつも注意は然程せず、 禁領特有の紫がかった風景を興味深く眺めながら、 てくてくと獣道を歩いていた。
 エンダーは多少先行し、道の様子を確認しながら進んでいる。 彼曰く、一度通った道でも用心は必要との事。 前方では赤い衣が身軽に動いているのが見え、 あの赤色は目印には丁度良いなとぼんやり思う。
 そしてアリィは、

「……?」

 と、横を歩いていた筈のアリィの姿がない事に気づき、足を止める。
 まさか逸れたかと慌てて視線を巡らせると、 〇〇が居る位置から数十歩程後方で立ち止まり、 東の方をじっと見上げている黒髪の少女の姿があった。
 一体何をしているのか。〇〇は彼女の傍まで戻るが、 アリィの視線がこちらに向く事は無く。何処か無言を強制するような雰囲気に、 声を掛けるか掛けざるべきか迷う。エンダーはぺらぺらと彼女に話を振るが、 どうも〇〇はそれが真似できない。はっきり言ってしまえば、 少し苦手な相手だった。

「怒り」

 そこへ、ぽつり、と一言。
 耳に届いた声に、〇〇ははっと彼女を見る。

「怒り、です。あの場所に、熱が、巻いておりまする、 います。害するモノ、荒らすモノ、襲うモノ。怒りが、巻いておりまする」

 訥々と、所々で言い直しながらアリィが言葉を紡ぐ。 視線は東に向けられたままで、言葉は果たして自身に向けられたものなのか、 〇〇に向けられたものなのか。それすらもはっきりとしない。

(……あの場所?)

 アリィが見上げる東の向こう。〇〇はようやくその視線の先を追う。
 そこにあったものは──以前に見た記憶がある。 聳《そび》える崖の最上に近い位置にあった、巨大な巣だ。
 しかし記憶のものとは違い、 今はその近くで動く人の影らしきものがない代わりに、 巣の周囲を無数の鳥影が荒々しい動きで舞い、 黒点がまるで蚊柱のように蠢いていた。
 その蚊柱は、〇〇達が見ている間に四方へと散り、 一部は崖の真中辺りへと集まって、他は大きく空へと広がっていく。

 その体躯と、その気配。禁領で今まで相手にしてきた忌種とは、 同質ながらも明らかに違う強大さに、〇〇は我知らず息を呑む。

 ──恐らくは、あれが“禁種”。
 禁領にのみ生息するとされる上位存在だ。

 ソレは〇〇達が居る位置を中心点として、 まるで様子を窺うように大きく空を旋回している。

「ありゃ確かにやばそうだな……」

 空を舞う四翼の影を睨み呟くエンダーの言葉は、〇〇の内心とほぼ同様。

「アリィ。お前から見て、どうだ?」

 少年の声にアリィの方を見れば、彼女は既に枝葉を手にし、 長い黒髪は蒼い光を放ち始めていた。

「…………」

 〇〇は小さく息を呑む。
 つまり、彼女が警戒する程の力をあの巨大な影は秘めている、という事か?
 同じことを考えたのか、エンダーもげんなりと顔を顰《しか》めていた。

「……洒落にならなくなってきた。おい〇〇、これ、 逃げたほうがいいんじゃねーの? つか、よくよくあっちの方見てみりゃ──」

 エンダーの視線の先を追うと、真上を旋回する四翼の影に呼び寄せられるように、 周辺を飛び回っていた黒点の幾つかが、 進行方向を変えてこちらに向かってきているのが見えた。

「逃げるぞ」

 否は無い。
 まずエンダーが、戦う気配を見せていたアリィの手を引き寄せ走り出す。 〇〇は二人の後を追いつつ空を見上げて、

「────」

 ──追いつかれる。
 空から舞い来る暴風の極み。四つの翼を持つ異形の大鳥が、 走る〇〇達目掛けて落下してくる。
 逃げ切る事能わず。ならば迎え撃つ、いや、何とか凌ぐしかない。 〇〇は後方から迫り来る脅威に対し、無言で己の武器を構える!

紫なる力の象(とても強そう)




(戦闘略)

     ***

 交錯。そして離脱。
 四つの翼を持つ大鳥が、 羽根の先端で風の尾を引きながら大空へと上がっていく。
 後に残ったのは、鳥が巻き起こした暴風によって薙ぎ倒された樹木の群れと、 揉まれ飛ばされ、ボロボロの姿となった〇〇達だ。

「なんだよあれ、有り得ねぇ……。〇〇、アリィ? 大丈夫かよ?」

 エンダーの全身は泥で汚れている。先程、風の一撃で吹き飛ばされて、 泥濘に突っ込んでいった結果があの姿。
 そして、ごとりがさりと背後で音。〇〇が振り返ると。

「…………」

 樹の中に埋もれていたらしいアリィが、ふるふると頭を振っていた。
 アレだけの数の樹木に下敷きとなっても殆ど無傷というのが凄まじいが、 それでも汚れからは流石に逃れられないらしく、 黒色に戻った長髪には葉や小枝が絡まってしまっている。

 上空へと上がっていった大鳥は、 空を大きく旋回しながらその速度を上げている。追撃の姿勢だ。
 兎に角、早くこの場から脱しなければ……。

─See you Next phase─






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