エルアーク情報局ﾘｻﾞﾙﾄ集　ﾙｸﾚﾁｱ物語

ﾌｧﾐﾘｵ

ｽﾄﾗﾙﾄﾞﾌﾞﾙｸについて聞く

「ねえ。“ｽﾄﾗﾙﾄﾞﾌﾞﾗｸﾞ”って、何?」

「……」

　ﾓﾙﾄが黙りこんでしまったので話題を変えた。

「どうして街にいたの?」

　長い沈黙のあとで、ﾓﾙﾄがこたえた。

「街の方に黒騎士たち――聖公神衛隊がむかうのをみた。気になって、あとを追った」

「自分も追われてるのに?」

「ああ」

　自分でもよくわからない、という様子でﾓﾙﾄがつづけた。

「おかげでこのｻﾞﾏだ」

「――ええ!?　何、わたしのせい?」

「そうか、ｵﾚが勝手に助けたんだったな。悪かった」

　いや、謝られることじゃないけれど。むしろお礼を言うべきは、全面的にわたしの方で。

「――いままで、どんな取材をしてきたんだ?　《ｱｸﾀ･ﾙｸﾚﾁｱ》では」

　突然、ﾓﾙﾄが話題を変えた。これまでに雑誌でとりあげた記事の題名をこたえる。

「えっと――『突撃!　廃坑の街の貧困にせまる』とか、『突撃!　紅死病の真実にせまる』とか、『突撃!　経済復興の現場から～ﾘﾍﾞﾗﾘｽﾞﾑとﾘﾊﾞﾀﾘｱﾆｽﾞﾑ』とか」

「本格派だな」

「……何派だと思ってたわけ?」

「意欲と力を感じる」

　まあ、ちょっと前のめりな名前のﾙﾎﾟばっかりだけど……

「――ｾﾙﾘｱ」

　ﾓﾙﾄが真剣な表情でむきなおった。

「な、何?」

「どうして報道ｶﾒﾗﾏﾝになったんだ?」

─See you Next phase─