TOP[0]>攻略ルート選択 >リザルトTOP |
|
ファミリオ |
|
[モルトの顔を見る]選択
「子どもたちが!」 モルトはそう言うと、声の方向に猛然と駆けだした。 あわててあとを追った。 *** 集落のみんなが集まっていた。 輪の中心に、イオが血を吐いて倒れていた。 「イオ――!」 リュウシンが駆けよって、イオの身体を抱きしめた。 「早くお医者さんを!」 “コギト”の一員でウルスラという名の女性が、 目を閉じて静かに首をふった。 「もう、息はないわ。紅死病よ」 「――!」 紅死病。それは“大戦”のさなか、突然流行りはじめた死の病。 感染者は何年もかけて身体をむしばまれ、血を吐いて死ぬ。 ワクチンを接種していれば予防は可能だけど――高額なワクチンを買えるのは、 聖職者や一部のお金持ちだけだ。 「イオ、イオ――」 ちいさな亡骸を抱きながら、リュウシンがむせび泣いた。 「そんな――」 目から涙があふれてきた。 「ねえ、セルリア! イオは眠っちゃったの?」 エルニノが駆けよって目を丸め、不思議そうに小首をかしげた。 「……そう、永遠にね」 「そっか。じゃあ、もういっしょに遊べないね!」 エルニノはにっこりと、なんの屈託もない笑みを浮かべ、 たたたと走りさった。 ――え? 突然、背筋を雷で打たれたような感じに襲われて、 そばにいたモルトの顔をみあげた。 彼はわたしの心中を察したかのような表情をみせ、 こくりとうなずいた。 「……エルニノは、哀しみという感情を知らないんだ」 彫りの深い顔が、いっそうけわしくなった。 モルトは彼の知る真実を、静かに語りはじめた。 ─End of Scene─ |
画像、データ等の著作権は、 Copyright(C)2008 SQUARE ENIX CO., LTD./(C)DeNA に帰属します。 当サイトにおける画像、データ、文章等の無断転載、および再利用は禁止です。 |