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エルベ・スーケン第一パーチ

 ○○は四枚目の探求者と契約する事にした。

 彼が居るという居住階最奥の部屋へと移動。ここの大部屋は慧国の学術機関が長期契約を結んでおり、派遣された学士達は大抵ここで雑魚寝しつつ資料収集、研究、報告の活動を行っている。

 本来は広いであろうその部屋は既に物で溢れ返っている。その中へ、○○がローランという人物に用があると声を掛けると、部屋の中で蠢いていた影がもそりと動いて、○○の前へとやってきた。

「えと、小生に何か御用でございましょうか」

 縦に長く、横がない。

 まるで棒の様な印象を与える青白い顔の青年は、○○の顔をおどおどと見る。

(……大丈夫か?)

 見るからにひ弱で、禁領探索に連れ出しても中間層を抜ける前に倒れてしまいそうだ。

 ○○が手にした資料を見せつつ共同探索の契約に来た事を告げると、彼は瞠目して動きを止めた。

「本当に、小生をご所望なのでしょうか。見ての通り、小生は只の一学徒。禁領への適性はございますが、貴方の役に立つかと問われれば迷わず否と答えましょう」

 何やら酷く自己評価の低い発言をしてくるが、こちらはとにかく契約料が安く、忌種の攻撃を分散させる為の的が居てくれれば良い程度の考えで話を持ってきたのだ。ローラン自身の力量を当てにしている訳ではなく、つまり彼の発言は的外れだった。

 ○○がそれでも構わない、取り敢えず契約を、と迫ると、彼は溜息と共に手続きを行ってくれた。

「ぅぅ。まさか禁領詰めに回された新人に、共同探索参加の義務があるなんて……」

 別れ際。
 そんな事を呟きながらしょんぼりと部屋に戻っていくローランの姿があった。

 さて、続いてどうしよう。

─See you Next phase─






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