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越境、雪の向こうへ

【備考】
スノーマンチップをパーティーで計4つ集め、ゼネラルロッツで教会を選択
フレビス⇔ゼネラルロッツ間 未開通の場合


     ***

「……というわけで、賢者アーネム様の手によって世界は開闢 《かいびゃく》され、迷える人々は救われました。 これが私達の世界の始まり、第一の時代“アガタ”の幕開けです」

 シスター・マリーはそう締めくくって、教本を置いた。
 教会では定期的に幼い子供達に何か教えているようだが、 今回は丁度その場面に出くわしたようだ。

「はい、では今日はここまで。質問はありますかー?」

 はいはーい、と子供達が元気良く手を上げる。
 隅に座ったハリエットは前の席の背もたれに寄りかかり、 両腕に顎を乗せて行儀悪くその様子を眺めていた。





「やっぱどこの教会も同じこと教えてるんだねー。 私も小さい頃にこれ聞かされたよ」

 まるで遠い昔のことを語るようにそう言って、 ハリエットは〇〇の方に振り返った。
 彼女の年齢から考えるとさほど大昔というわけでもないはずだが ……あるいは故郷を長く離れていて、 その頃のことを懐かしく思っているのかも知れない。

「で、チップは集まったの?」

〇〇はスノーマンチップを4個渡した。

「うん、上出来!」

 ハリエットは受け取ったチップを袋にまとめて、上機嫌に笑った。

「じゃあ早速行くよ。当然、準備は万端なんでしょ?  できてなくても行っちゃうけどね!」

 ハリエットは長椅子の背もたれに手をかけると、 ぴょんと飛び越してこちら側にやってきた。
 それから振り返って、マリーと子供達に向かって手を振ってみせる。

「じゃ、マリーさんまたねー!」

「あら、お気をつけて」

 子供達の質問責めにあいながらマリーは会釈した。
 どことなく安堵したような気配があるのは、 気のせいではないだろう。

「あー、ハリエット帰っちゃうのー?」

「つまんなーい」

 子供達の何人かが頬をふくらませてこちらを振り返る。
 ハリエットはその子達にも手を振ってみせた。

「ネイサンとロッテもまたねー!」

 彼女がここで何をやっていたのかは知らないが、 いつの間にか子供達とも知り合いになっていたらしい。
 マリーや子供達の様子から察するに、 少なくともハリエットが教会の食べ物をかっぱらって食べていた ――というような事は無さそうで、他人事ながら少し安堵する。

 ひょっとするとハリエットも臨時講師のようなことをこなしていたりするのかも知れない。
 少なくとも子供達の遊び相手としては、マリーより適任だったに違いない。

 〇〇はそんなことに思いを馳せながら、 ハリエットに連れられるようにして教会を後にした。

     ***

「さて、それじゃ行きますか。目的地は西フレビス山脈よ」

 西フレビス山脈……ということは、確かリンコルンに登山口があったはずだ。
 ゼネラルロッツの西口に向かって歩きだした途端、ハリエットに腕をつかまれた。

「そっちじゃないよ。リンコルンじゃなくて、こっちから登った方が近いの」

 ずいずいとしばらく手を引かれて町を北東方面に進んでいく。
 こんなところにも道があったのか……。

     ***

「あーさぶ。おーさぶ」



 山道を一定の速度で登りながら、少女が言った。
 既に周囲の地面には雪がちらついており、吐息も白い。

「ふー。でさ、常識だけど、 フレビス山脈はエメト山を中心にして東と西に分かれてるの。 西側がここレンツール、東側がベルン公国ね」

 ハリエットは普段着の上から外套をくるむようにしているが、 その程度ではもうかなり寒いだろう。
 歩調は変わらないものの、時折小さく震えながら話を続けている。

「もう判ってると思うけど……これが旅券なしで越境する道ってわけ。 ただ、東西の間は超深い谷になってるし、 上は上で氷ばかりの何もないエメト山。唯一普通に通れる場所が ……そこよ!」

 ハリエットが外套から手を出して指差した。
 その先にあるのは、積雪で完全に埋もれた道――というより、 ただの斜面だった。

 ハリエットが外套から手を出して指差した。
 その先にあるのは、積雪で完全に埋もれた道――というより、 ただの斜面だった。

「まあ、大抵こんな具合に雪でつぶれてるんだけどね。 そこで集めてもらったコレと、〇〇の出番!」

 言って、 ハリエットは先刻〇〇から受け取ったスノーマンチップを斜面に向かって投げ始めた。

「ほいほいほいっと、こんなもんで良いかな?」

 順次放り投げられた4つのチップはそれぞれ深い雪にすっぽり埋まり、 穴だけを残して見えなくなる。

「さて、4つだから、4体同時だよ。準備良い?」

(4体……って?)

 その疑問はすぐに解消された。
 チップが落ちた辺りで風が逆巻いたかと思うと、 周囲に積もった雪が激しく巻き上げられる。
 竜巻にも似た4本の雪柱というべき物体は、 見る間にそれぞれ凝縮されて行き――。

(……そういうことか)

 やがて大きく積雪の減った細い小道と、 4体の雪だるまがその姿を現した。

     ***

雪だるま達が現れた!



─See you Next phase─



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