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動作チェック場2

【備考】
ノルマ達成→寮→製作作業場→動作チェック場

 英雄デビューしたばかりの僕は、気恥ずかしさでクールを気取っていた。
 だって、そうだろ?
 誰もが自分に期待してるって状況は、正直面倒くさい。

 これだけの人間が集まれば、いろんな個性の奴がいる。
 僕が何人も寄せ付けない鉄壁のオーラを放っていようが、それを軽々とすり抜けて、 話しかけてくる奴が何人かいた。

 そいつらによると、工場には何人かの“魔法”を使える奴がいるらしい。
“魔法使い”は僕と同じように兵器の動作チェックを担当している。
 そいつらも僕と同じように、僕の東京から来た人だろうか?
 だとしたら、その人たちは、今の状態をどう受け入れて、どう感じてるだろう?
 会って確認してみたいと思ったけど、 日々を乗り切るのに精いっぱいで捜し出す気力も余裕もまったくなかった。

 僕が“英雄”として、労働者たちからもてはやされるにつれて、僕は監督者からも注目の的になった。
 労働中はもちろん、寮での行動も常に事細かに監視され、事あるごとに懲罰を受けた。

 僕は、監督者たちのストレス発散の道具であり、他の労働者を黙らせる生贄だった。


試作T型



 週に一度の兵器組み立てラインは、一番過酷だ。
 他の労働者と一緒に働くこの作業では、監督者たちのパフォーマンスは一層激しくなる。
 作業場の片隅で、今日も僕は8人の監督者からいつものように激しいリンチを受けた。

 やめろ! 暴力反対!!

 他の労働者たちは、僕がうめくたびに顔をゆがめながらも、見て見ぬふりをして仕事に打ち込んだ。
 仕方ないさ。でなきゃ、自分の身が危ないんだから。

 ――意識が遠のいていく。いっそこのまま意識が途切れれば、楽になれる。

 そのとき、サイレンが鳴り響く。
 この奇妙なお台場で目覚めたときに聞いた、あのサイレンの音だ。

 監督者も、労働者たちも、僕のリンチもピタリと止まる。
 そして、みんなは整然と作業場から出ていった。

 今日の過酷な労働が終わったのだ。
 このお台場で初めて聞いたサイレンの音は、作業の交替時間を知らせる合図だった。

 作業場には、倒れた僕だけがぽつんと取り残された。
 でも、すぐに次の当番の労働者たちがやってくる。
 それまでに、立ち上がって、ここから出なければ。でないと、またリンチだ。


ーEnd of Sceneー


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