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ディーファの自由帳

2回目以降
 それは酷く優しくて、そしてどこか物悲しい。
 そんな淡い瞬きの光点が漂う、高く遠く深く遥かな藍色の空が視界の全てを埋め尽くす場所だった。
 その空の中に走る、一本の煉瓦道。○○とツヴァイは、その上に立っていた。



「○○さん、身体の方に何か問題ありませんか?」

 ツヴァイの問いに、○○は軽く身体の調子を確かめつつ頷いて、 ここに来る前のやり取りを思い出す。
 ツヴァイの居室へ訪れた○○は、 彼女にもう一度指導を受けたいと頼んだのだ。
 対する返事は「判りました」という簡単な一言。 そしてツヴァイはあの薄い帳面のような本を取り出して、 促されるまま○○がそれに“挿入栞”を挿し込み── 今のこの状況だった。

(にしても、)

 ○○は煉瓦道以外は何も無い、 暗い空ばかりの風景をぐるりと見渡して、 今回もこの世界かと、独り言のように呟く。
“ディーファの自由帳”。
 確か、あの本はあくまで代理の指導書とか言ってなかっただろうか。
 あれから多少の時も経ったし、てっきり今回は本当の指導書とやらを使うのかとも思ったのだが。
 そんな○○の小声を耳ざとく聞きつけて、ツヴァイの表情が苦笑に変化。

「……痛い所突いてきますね。実は代理代理と言っていますけれど、 元々のものがもう完全にお釈迦になっちゃいましたから。 私は一から本を綴る程に“述具”の扱いには長けていませんし」

 お茶を零したくらいでお釈迦になるのか。
 案外脆いと素直な感想を口にすると、 ツヴァイは小さく肩を竦めてみせる。

「“群書”──“円環の広間”にあるような特別な本達は別ですけれど、 指導書は所詮“単書”ですので、結構デリケートなんです。 といっても、普通はお茶くらい大丈夫なんですけど…… ちょっと当たり所が悪くて」

 当たり所、は少し違うような気がするが。
 というより、そんなデリケートな品なら、 お茶を零すかもしれない場所にぞんざいに置かなければ良い物を。

「うぐ──」

 いつもの仕返しとばかりにやにや笑う○○を、 ツヴァイは渋い笑顔で睨み、

「で、ですから、この件はこれ以上突っ込まないでくださいな!  ほら、指導始めますわよ」

 声を荒げてから、ツヴァイがぱちんと指を鳴らす。すると、 前回と同じように、彼女の背後にどすんと巨大な黒板が姿を現した。
 そこへツヴァイはあれこれと、『装備の基本』や『合成の基本』等の項目を書き記すと。

「こほん。では、○○さんのご要望通り、 本の中の世界で生きていく上での知恵を、 また簡単にご説明しようと思いますが、何について知りたいですか?」

 問いに、○○は黒板に並んだ文字を見ながら暫しの黙考。 そして──。

─End of Scene─




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